2008 Fiscal Year Annual Research Report
筋肉のタンパク質とエネルギー代謝の調節機構に対するアミノ酸投与と運動の効果
Project/Area Number |
20300216
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
下村 吉治 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授 (30162738)
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Keywords | BCAA / 分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素複合体 / 後肢懸垂 / 廃用性筋萎縮 / ラット / BCAA食 / 筋タンパク質 / 総RNA |
Research Abstract |
分岐鎖アミノ酸(BCAA)は、タンパク質合成の材料としてばかりでなく、タンパク質代謝の調節など種々の生理作用を有するアミノ酸であることが明らかにされつつある。よって、BCAA代謝の調節はBCAAが生理作用を発揮する上で重要である。BCAA代謝系の律速酵素は、その系の第2ステップに存在する分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素複合体(BCKDC)である。本研究では、まずラット肝臓からのBCKDC精製法を改良し確立した。さらに本研究では、廃用性筋萎縮に対するBCAA添加食摂取の効果を5〜6週齢のSprague-Dawley系雄性ラットを用いて検討した。ラットを対照群と6日間後肢懸垂群に分け、更に両群を、AIN-93G食(コントロール食)もしくはAIN-93G+5%BCAA食(BCAA食)を摂取させる群に分けた。後肢懸垂には独自に開発したケージを用いた。実験最終日に、全てのラットから抗重力筋であるヒラメ筋を採取した。摂取した餌に関係なく後肢懸垂ラットのヒラメ筋は著しく萎縮し、対照ラットに比べて〜50%の重量であった。すなわち、ヒラメ筋重量に対して、BCAA食摂取の効果は認められなかった。一方、ヒラメ筋の総タンパク質量および総RNA相量は、対照ラットに比べて後肢懸垂ラットで有意に低下したが、後肢懸垂群間では、ヒラメ筋の総タンパク質量および総RNA量は、コントロール食群に比べてBCAA食群で有意に高値であった。これらの結果より、5%BCAA食摂取は、筋不活動によるヒラメ筋重量の低下を抑制しなかったが、筋総タンパク質量および総RNA量の低下を軽減したので、筋不活動による筋タンパク質合成能力の低下を抑制する可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)