Research Abstract |
ゴールデンスタンダードである二重標識水(DLW)法を用いて,都市部に居住する,同一人物の児童の5年生時と6年生時のエネルギー消費量を縦断的に検討した。男子(n=13)のエネルギー消費量は5年生時2085±288kcalから,6年生時2253±265kcalへと有意(p<0.05)に上昇した。一方,女子(n=6)においては5年生時1724±223kcal,6年生時1833±231kcalであり,その差は有意ではなかった。当然ながら,体格(身長,体重,BMI)は男女共,5年生時に比べ6年生時に向上していた。したがって,女子のエネルギー消費量に上昇が認められなかった背景としては,身体活動量の低下が考えられる。 また,農漁村部(男子:n=20,女子:n=10)と都市部(男子:n=13,女子:n=8)の5年生児童のエネルギー消費量をDLWによって比較したところ,男子では差が見られなかったが(農漁村部:2012±238kcal,都市部:2085±288kcal),女子では有意(p<0.05)に都市部が低値を示した(農漁村部:1969±294kcal都市部:1709±222kcal)。しかしながら,歩数については男子では平日・週末とも,都市部の児童の方が高値を示した。すなわち,都市部の児童は,身体活動量(歩数)は多いものの強度が低く,その結果,エネルギー消費量では差がなかったものと考えられる。一方,女子の歩数は,平日では農漁村部と都市部とで差が見られないが,週末は都市部が高値を示した。この結果は,都市部の女児が週末に身体活動量(歩数)を増やしても,日常的な強度が低いため,エネルギー消費量が少ないことを示唆する。
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