2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒアルロン酸ノックダウンマウスの老化機構の解明及び抗加齢医薬開発への活用
Project/Area Number |
20300225
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
今 淳 Aomori University of Health and Welfare, 健康科学部, 教授 (60271798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤村 大輔 国立大学法人弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60196334)
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Keywords | ヒアルロン酸 / 糖鎖 / アンチエイジング / 老化 / 発現制御 |
Research Abstract |
本年度は,第1に,昨年度同様HAノックダウンマウスの組織の病理組織学解析を行った。その結果MUにより角質水分量の著明減少,弾力には影響が無いこと及び真皮の萎縮を見出した,何れもMUによるヒアルロン酸合成の低下を反映していた。また汗腺が拡張していた。拡張の原因はMUの過剰投与によるMUの汗管内への充満であった。投与量を10mg/g体重から5mg/g・体重にすると改善され,今後この条件での解析を進めた。またMUによるヒアルロン酸低下は抱水性を低下させ,その結果膝軟骨を菲薄化させた。本ノックダウンマウスは跛行するものが多く,その原因と考えた。第2に,昨年度同様本マウス特異的遺伝子の発現解析を行った。ヒアルロン酸合成酵素HAS-2遺伝子の発現抑制が転写レベルで行われることは既に見出していたので,本年度ルシフェラーゼアッセイ法及びゲルシフトアッセイ法により更に詳細に解析し,少なくとも2ヶ所のMUの応答配列を同定した。現在,転写因子の性質等の解析を進めている。また網羅的解析では,MUにより発現が消失するもの61種を見出した。toll-like receptor 3の減少は興味深く,加齢による皮膚の皺形成や炎症誘発に関与する可能性を考えた。その他チロシン脱リン酸化酵素,サイクリンY, Rho等の癌遺伝子が著明に減少していた。申請者らはメラノーマ細胞の増殖と転移がMUにより抑制することを報告している,この結果を支持する結果であった。一方MUにより新たに発現した遺伝子65種を見出した。特筆すべきものは異化分解酵素ストロメライシン3であった。本酵素は細胞外マトリックス成分の分解を促進し,これがノックダウンマウスの皺症状を促進していると考えた。第3に,これまでの結果を基に,現在老化及び抗加齢に関連する遺伝子の発現ベクターの調製を進めている。
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