2009 Fiscal Year Annual Research Report
新しい概念の抗酸化物である水素を摂取することによる生活習慣病予防への新展開
Project/Area Number |
20300230
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
太田 成男 Nippon Medical School, 大学院・医学研究科, 教授 (00125832)
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Keywords | 水素 / 抗酸化物質 / 酸化ストレス / ミトコンドリア / 生活習慣病 |
Research Abstract |
私たちは、水素分子は新しい概念の抗酸化物として優れていることを報告した(Ohsawa I, et al, Nature Medicine, 13, 688, 2007)。酸化ストレスは生活習慣病の原因のひとつであることが明らかにされている。本研究では、飲用水に含まれる水素を摂取することによって生活習慣病を予防する効果を明らかにすることを目的としている。本年度は、水素水の経口投与による水素の体内動態を明らかにした。さらに、糖尿病/肥満症モデルマウスを用いて、水素水の飲用により改善される症状を明らかにした。 水素投与により細胞内酸化状態へ移行するかどうかを、酸化還元状態をモニターするroGFP遺伝子を導入してミトコンドリア内外の酸化状態をモニターしたが、有意な差は認められず、水素により細胞全体が還元状態へ移行するかどうかは依然不明である。 水素水を強制的にラットに経口投与した場合に、肝臓の水素濃度を水素電極でモニターすると上昇し、水素分子は経口投与によって吸収され、肝臓へ移行することが明らかとなった。 糖尿病/肥満症モデルマウスとして、レプチン受容体欠損(db-/db-)マウスを用いた。このマウスは食欲が制御できたいため過食となり、肥満となり2型糖尿病を発症させる。このマウスに水素水を飲ませると肝臓の酸化ストレスマーカーのMDAが減少し、水素水投与によって酸化ストレスが軽減されていることがわかった。さらに、脂肪肝が少なくなり、体重の増加が抑制され、血糖値、インスリン濃度、中性脂肪値が低下することがわかった。すなわち、糖尿病/肥満症また、肝臓のFGF21が増加することがわかった。FGF21の増加によって、糖代謝、脂肪酸代謝が上昇することが示唆された。 以上のように、本研究の研究計画にしたがって、研究目的はほぼ達成された。
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