2010 Fiscal Year Annual Research Report
新しい概念の抗酸化物である水素を摂取することによる生活習慣病予防への新展開
Project/Area Number |
20300230
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
太田 成男 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00125832)
|
Keywords | 水素 / 抗酸化物質 / 酸化ストレス / ミトコンドリア / 生活習慣病 |
Research Abstract |
本研究では、水素を摂取することによる生活習慣病を予防する効果を明らかにし、そのメカニズムをモデル動物と培養細胞を用いて実証することを目的とした。計画にしたがって研究を進めた結果、以下の研究成果をうることができた。 (1)摂食障害の肥満モデルマウスに、水素水を長期投与すると、体脂肪が減少し、脂肪肝が減少し、血液中中性脂肪が減少し、血糖値が低下することを明らかにした。すなわち、水素水の長期投与により生活習慣病が予防される可能性が示唆された。 (2)水素分子の動態:計画にしたがって、水素を溶解した水をラットに投与し、水素電極を用いて水素の体内動態を調べた。肝臓にはグリコーゲンが蓄積するので、絶食状態と飽食状態の違いを調べ、水素がグリコーゲンに蓄えられることを明らかにした。 (3)肥満モデルマウスに水素水を投与することによって、酸素消費が上昇し、二酸化炭素の放出が低下することから、エネルギー代謝の亢進をもたらすことが明らかになった。 (4)生体内での水素のターゲットを探索:DNAマイクロアレイを用いた網羅的な解析:昨年に引き続き、水素を摂取させたマウスと対照マウスの各臓器についてDNAマイクロアレイによる遺伝子発現の変動解析を行った。その結果、変動が見られた遺伝子は、脂質代謝に関連した遺伝子群であり、脂質代謝の亢進は、遺伝子発現変化であることを明らかにした。 (5)水素投与による細胞内還元状態の解析では、細胞内還元状態と酸化状態で蛍光が変化するGFPタンパク質遺伝子を導入した遺伝子組み換えマウスの作製には成功したが、水素の効果を観測するには至っていない。また、水素の直接のターゲットは同定されていないので、今後の課題として残された。
|
Research Products
(15 results)