2008 Fiscal Year Annual Research Report
食品の味の向上に寄与する匂い物質の探索とその作用機序の解析
Project/Area Number |
20300239
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
久保田 紀久枝 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (90008730)
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Keywords | 風味増強作用 / スパイス / 香気成分 / コンブだし汁 / 鰹節だし汁 / チキンブロス / キャピラリーGC-分取 / においと味の相互作用 |
Research Abstract |
味と匂いはいずれも化学物質の受容体への刺激によって感じる化学感覚である。したがって、ヒトが感じる「味」は、味とにおいの刺激が相互作用し、統合された結果であると推測される。しかし、味とにおいの相互作用については解明されていない部分が多い。本研究では、野菜類、ハーブや香辛料、コンブ類などさまざまな食品を対象に、呈味に影響を与え、全体として風味を向上させるにおい成分をスクリーニングした。10数種のスパイスより水蒸気蒸留法により香気成分を分離する一方、鶏がらを使ったチキンブロスを調製し、食塩濃度を0.3%に調整した。チキンブロスをコントロールとし、各スパイスから調製した香気成分を含む水蒸気蒸留物を加えた液の風味を官能評価により評価し、比較した。その結果、香気成分を加えることにより、広がり、深み、調和、持続性などの評価用語で表されるこくみが増し、風味が増強されると評価されたスパイスが数種類あった。現在、各スパイスの香気成分を詳細に検討し、香気に寄与する重要香気を選び出すとともに、購入した、キャピラリ-GC分取装置を用い、香気成分を分画し、こくみを増強する成分の検索を行っている。スイートバジルに味を増強する成分が存在する可能性が認められ、分角を進めさらに検討を進めている状況である。また、昆布だしについては、まずにおい成分の精査から始めた。昆布の種類により、だし汁の香気特性がかなり異なることがわかった。このことより、香気の違いを調べると同時に、鰹節だし汁の風味との相互作用についても、コンブの種類が影響するかどうか、化学分析と官能評価の両面から検討している。現在、野菜も含め複数の試料にしぼり、味に寄与する香気成分の検索を進めている。
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