2009 Fiscal Year Annual Research Report
食品の味の向上に寄与する匂い物質の探索とその作用機序の解析
Project/Area Number |
20300239
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
久保田 紀久枝 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (90008730)
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Keywords | 風味増強作用 / スイートバジル / 香気成分 / コンブだし / 鰹節だし / トマトスープ / ニンジン香気 / キャピラリーGC-分取クロマトグラフィ |
Research Abstract |
匂いと味は食べ物の嗜好性を決める最も重要な因子であり、いずれも化学物質の刺激による感覚であることより、相互作用によりいわゆる味が形成される。本研究では、匂い刺激による味の増強作用の存在を仮定し、化学的な検証を行うことを目的とする。具体的には、1)スープを作る際の香辛料の風味増強効果、2)鰹節と昆布を使う合わせだしにおけるコンブの香りの出し風味への影響、3)嫌いな人が多い野菜の一つであるニンジンの匂いの味への影響の3点に焦点を当て以下の研究を行った。1)バジル香気のトマトスープ風味増強効果を調べた。バジルの香気成分を抽出後、キャピラーGCにより、成分を分画し、増強効果のあった2画分について官能評価を行った結果、一方はトマトの風味に、もう一方はチキンブロス風味に影響を与えることが示され、成分によって作用が異なることが分かった。成分分析をした結果、トマトに影響する成分はシネオールであると構造解析した。現在作用について詳細を検討中である。もう一方は複数の成分が含まれ、微量成分も含め多数の成分が影響している可能性が示された。現在、単一成分に分画する方法を検討中で、各成分について相互作用も含め検討の予定である。2)合わせだしについては、味成分であるイノシン酸とグルタミン酸の相乗効果がよく知られているが、本研究ではかつおだしに、コンブだしの味成分を含まない揮発性成分(匂い成分)のみを添加して味への影響を官能評価で調べた。その結果、かつおだしの生臭い、スモーク臭がコンブの香りにより抑制され、だし風味の広がりやこくが増強されることが明らかとなった。寄与する香気成分の特定を試みたが、合わせだしの揮発成分のみを効率よく分離することができず、現在検討中である。3)ニンジンについてはまず、特徴香気成分を分析中で、生ニンジンについては解析し、学会で発表したが、加熱して食することが多いため。加熱香気について現在研究中である。
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