2010 Fiscal Year Annual Research Report
開発途上国の理数科教員研修カリキュラム開発とその効果に関する実証的研究
Project/Area Number |
20300258
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
池田 秀雄 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (50112165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 卓也 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (00335720)
清水 欽也 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 准教授 (70325132)
石原 伸一 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 特任准教授 (60585644)
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Keywords | 国際協力 / 理科教育 / 授業分析 / 教師教育 / 教授言語 |
Research Abstract |
平成20年度から本科研により、開発途上国の教員再研修用の教材開発を実施し、その効果について現場の理数科教員の教授方法の変容から検証してきた。ケニア、インドネシア、カンボジア、ザンビアについては22年度までにほぼ終了したが、ガーナ、フィリピンについて23年度に承認を得て繰り越した。 23年度には、ガーナの中等理科授業分析および質問紙調査を実施した。ガーナの理科授業を参与観察し、同時にVTR記録し、さらに教師と生徒にアンケート調査を行った。それらのデータをもとにして教師と生徒との対話を、教師の発問と生徒の解答、解答に対する教師の手だて、という観点から分析した。その結果、ガーナの理科教師の発問は生徒の知識を確認する事がほとんどで、生徒の正答を求め、誤答は無視し、このことは生徒の意欲を削いでいる事がわかった。教師の発問のうちで、『生徒を思考させる意図でなされたものはほとんど見られなかった。以上のことから、ガーナにおいては「生徒・学習者中心の理科授業」という標語で教育協力が実施されていうが、その本質は十分には現場教師に理解されていないことが明らかになった。今後の教材開発に対する重要な実証的示唆が得られ、改善への取り組みを始めた。さらに、フィリピンの初等理科教育における現地地方言語、国語(フィリピノ語)および英語の3言語による教授言語の効果を測定する問題を開発し、生徒の学力と言語の相関を調べた。その結果、特に学力が低い生徒で地方言語による支援が学力向上に寄与することが明らかとなった。現在、フィリピンにおいては初等教育の初期段階で地方言語を用いた児童への支援が考えられているが、その実施に対する有効性が証明された。
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Research Products
(2 results)