Research Abstract |
本研究の目的は,テレビ会議システムを用いる国際間同時双方向遠隔授業において国際間の集合知形成を教育目標とする異文化コミュニケーションの授業スタイルを提案することである. 国際間通信(国内実験)と国内間同時双方向通信(国際間実験)の二つのステップでの実験を計画した. 国内実験としては,国内三大学間の実験参加機関として,早稲田大学,東京理科大学,北海道大学を選定し,これらの参加校を適宜組み合わせて2度の実験を行った.この場合においても,国際間での実験を想定し,コミュニケーション用の言語として日本語と英語の両者を用いて行った.開発した集合知形成装置(コンセプトマッピング・ソフトウェア・システム)は両言語に対応している.なお,実験趣旨はコンセプトマッピングの共同作業は,音声・文字による言語コミュニケーションに比べて,参加者はキー用語だけを文字化して,その意味合いは図形的に行えるので言語障壁がきわめて低いという特徴がある.システムに関する評価,実際の実用性の評価,ならびに教育的運用性と効果について検討した. 結果として,評価実験1では,チャットのみでの議論,また絵チャットでの議論よりも本ツールで議論を行うことによって,自分の考えや他人の考えを理解することに優れ,参加者が共通の認識を得ることにも優れているという結果を示せた.評価実験2では,異文化圏,また異文化間でも日本人同士で本ツールを使用した結果とそこまで大きな差異はないことが明らかになり,本ツールが異文化圏,また異文化圏でも有効に機能することがわかった.さらに,より効果を高めるために必要な機能の特定もできた. 国際間実験としては,北海道大学とオーストラリア・パースのEdith Cowan大学との間で実験・調査を行った.他に,バルセロナ大学,ローマ大学,台湾淡江(Tamkang)大学などがカウンターパート候補としてあがっている.
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