Research Abstract |
本研究の目的は,テレビ会議システムを用いる国際間同時双方向遠隔授業において国際間の集合知形成を教育目標とする異文化コミュニケーションの授業スタイルを提案することにある. 平成23年度は最終年度につき雑誌論文,学会発表欄に記したように国内学会,国際学会への参加・報告を行った. 国際間通信(以下,国際間実験)と国内間同時双方向通信(以下,国内実験)の二つのステップでの実験を行った. 国際間実験のカウンターパートは,中国上海交通大学,オーストラリアEdith Cowan大学,ソウル梨花女子大学,タイThammasat大学であった.国内実験は早稲田大学,東京理科大学,北海道大学で,これらの参加校を適宜組み合わせて実験を行った. 集合知形成目的のコミュニケーション用ツールとして当該科研プロジェクトにより開発した集合知形成装置(コンセプトマッピング・ソフトウェア・システム)を用いた.このシステムは日本語と英語の両者に対応している.実験趣旨はコンセプトマッピングの共同作業が,音声・文字による言語コミュニケーションに比べて,参加者はキー用語だけを文字化して,その意味合いは図形的に行えるので言語障壁がきわめて低いという特徴があることを仮説として,システムに関する評価,実際の実用性の評価,ならびに教育的運用性と効果について検討した. 結果として,評価実験1では,チャットのみでの議論,また絵チャットでの議論よりも本ツールで議論を行うことによって,自分の考えや他人の考えを理解することに優れ,参加者が共通の認識を得ることにも優れているという結果を示せた.評価実験2では,異文化圏,また異文化間でも日本人同士で本ツールを使用した結果とそこまで大きな差異はないことが明らかになり,本ツールが異文化圏,また異文化圏でも有効に機能することがわかった.さらに,より効果を高めるために必要な機能の特定もできた.
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