2008 Fiscal Year Annual Research Report
工学的アプローチによる近代製糸技術の変遷とその科学技術的評価
Project/Area Number |
20300284
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
森川 英明 Shinshu University, 繊維学部, 教授 (10230103)
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Keywords | 製糸 / 生糸 / 座繰 / 産業遺産 / 諏訪 / 品質管理 |
Research Abstract |
本年度は「座繰繰糸機」の機構上の差異,機械的な特徴,工程上の差異について調査を行った。諏訪式座繰繰糸は,明治初年に岡谷で開発された繰糸法である。その特徴として,1人の作業者が同時に2緒(本)の生糸を繰製することがあげられる。作業者は釜に浮いている繭を目視し,その色によって繭層の厚さを判断し,必要に応じて接緒している。この作業が繊度むらなど生糸品質を決定づける要因となっている。現在,数名の熟練作業者が存在している。しかし高齢化が進み,今後,作業者がいなくなる恐れがあるため,彼らのもつ技術を明らかにし保存,継承することが必要となっている。本研究では,繰糸中の生糸を構成している繭の厚さを色の明暗として数値化し,繰製される生糸径との関係を明らかにすることで,作業者がどのように繊度を予想し,管理しているのか解析を試みている。その予備実験として,ここでは,レーザーマイクロゲージによる生糸径(繭糸径)の測定を行い,その妥当性について検討した。春嶺×鐘月(2008年度春繭)4粒を鍋煮繭し,4粒繰りを行った。繰糸速度20.7[m/min]で,レーザーマイクロゲージにより連続的に生糸径を測定した。その結果,繭糸繊度に対応した特徴が確認でき,繭色と生糸径との関係性を得ることができた。この結果から作業者が目視で判断している繭糸の太細,および混繰のコントロール方法につい概要が確認できた。 また,岡谷地方に現存する諏訪式座繰繰糸機について現存する図面等を調査し,その結果を岡谷蚕糸博物館紀要に発表した。この中には工場内での機械配置や機構に関する情報も含めて整理することができた。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] 諏訪式座繰繰糸の特性解析2008
Author(s)
柳澤紀江, 森川英明, 三浦幹彦, 岩佐昌征, 高橋耕一, 鮎澤諭志
Organizer
日本蚕糸学会中部支部研究発表会
Place of Presentation
信州大学繊維学部(上田)
Year and Date
2008-11-29