2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20300291
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Research Institution | National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo |
Principal Investigator |
石崎 武志 National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo, 保存修復科学センター, センター長 (80212877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 享二 東京工業大学, 工学研究科, 教授 (40016829)
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Keywords | 歴史的建造物 / 凍結劣化 / 塩類風化 / 撥水剤 / 保存対策 |
Research Abstract |
本年度は、「北海道開拓の村」の歴史的建造物および小樽市内の歴史的建造物の劣化調査とそれぞれの周辺環境の調査を中心に行った。「北海道開拓の村」では、石造建造物の近くに微気象観測装置を設置し、温度、湿度、風向、風速、降雨量などの環境データを継続的に測定した。また、石造建造物の修復の際に壁面の石試料を採取し、劣化部分と劣化していない部分の比較分析を行った。旧小樽新聞社の劣化の詳細は現在分析中であるが、木造の骨組みから鉄筋コンクリート壁式構造への変更、石材内部でのかすがいの爆裂、凍結・融解などによると推測している。また、コアで観測された潜在亀裂の発生については外的な要因は考え難いこと、壁面に沿った亀裂が顕著であること、剥落の殆どが撥水剤の染み込みとの境界で発生していること、剥落が春季に発生していることなどから勘案して、凍結・融解の繰り返しが誘因の一つとなっていると推測している。小樽市内の歴史的建造物の調査対象として重要文化財旧日本郵船小樽支店を選び、室内の温湿度環境測定および壁面の体積含水率測定を行った。 石材表面に塗られる撥水強化剤に関しては、国内外で使用されている撥水剤を北海道の歴史的建造物の石材として使われている凝灰岩(札幌軟石)に塗布し、表面の性質や吸水性などを調査した。今後、暴露試験を行い、撥水材の耐久性を調べる予定である。
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Research Products
(2 results)