2008 Fiscal Year Annual Research Report
化学イオン化質量分析法による大気中亜硝酸濃度の測定
Project/Area Number |
20310001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
廣川 淳 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (20262115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真船 文隆 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (50262142)
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Keywords | 亜硝酸 / 質量分析法 / 化学イオン化 / イオン-分子反応 / 対流圏オゾン / 大気計測 |
Research Abstract |
今年度は、SO 2Cl^-イオンを一次イオンとした化学イオン化質量分析法による大気中亜硝酸HONOの濃度測定を可能とするために、最適な化学イオン化条件の探索と一次イオン源の改良を行った。このうち、最適な化学イオン化条件の探索では、化学イオン化に用いるイオン-分子反応の諸条件を変化させて、HONO検出感度の応答を実験的に調べた。実験から、HONO検出感度は一次イオン生成のために導入する二酸化硫黄気体の流量および化学イオン化領域の圧力に依存することが見い出され、その依存性からイオン-分子反応の平衡定数、反応速度定数を求めた。これらの値をもとに、最適な化学イオン化条件は、二酸化硫黄気体の流量20cm3/min、化学イオン化領域の圧力5.2Torrであると見い出され、この条件下でHONOの最小検出限界は150pptvと見積もられた!この濃度は夜間のHONOを検出することは可能であるが、光解離が起こる日中の濃度測定には不充分であり、更なる感度の向上を必要とする。一方、一次イオン源の改良では、これまで用いてきた塩化メチルの放電による生成法に替えて、フィラメントで発生させた低速電子の四塩化炭素への電子付着を試みた。フィラメントに流す電流およびバイアス電圧を調整することにより、放電法と同程度の強度の一次イオンSO2Cl-を生成することができた。また、実大気を導入した試験的な測定を行ってみたところ、放電法では様々な不純物ピークが質量スペクトル上で観測されたのに対して、電子付着法ではそのほとんどが見られなかった。これは、電子付着法では放電法に比べ副生成物がほとんどできていないためであり、電子付着法が化学イオン化質量分析によるHONOの高感度かつ選択的な検出に適していると考えられる。
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Research Products
(2 results)