2008 Fiscal Year Annual Research Report
海洋表層におけるケイ素と炭素の生物地球化学的循環のカップリング
Project/Area Number |
20310006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 重信 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (20334328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小畑 元 東京大学, 海洋研究所, 准教授 (90334309)
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Keywords | 海洋科学 / 海洋生態 / 地球化学 / 環境変動 / 炭素循環 / 生物ケイ酸 / 珪藻 / 植物プランクトン |
Research Abstract |
(1)西部北太平洋亜寒帯域における有機炭素生産と生物ケイ酸生産 2008年7-8月の研究船「白鳳丸」航海において、西部北太平洋亜寒帯域の定点K2の100〜0.4%光量の8層から海水を採取し、生物ケイ酸と有機炭素の生産速度を^<30>Siおよび^<13>Cトレーサーに用いて擬似現場法で測定した。珪藻群集においては小型の羽状目珪藻が優占していたが、植物プランクトン群集全体の生物量でみると渦鞭毛藻、クリプト藻、微小鞭毛藻類が卓越していた。このため水柱の有機炭素生産に対する生物ケイ酸生産の割合が相対的に低くなる傾向にあった。同海域では溶存鉄濃度が低く、鉄不足が大型珪藻などの増殖制限要因になっていたと考えられる。但し、有光層下部や有光層直下には大型珪藻が植物プランクトン群集全体に占める割合が比較的大きくなっており、有光層下部における生物ケイ酸の生産過程を把握することが、水柱の有機炭素生産と生物ケイ酸生産のバランスバランスを考える上で重要になる。 (2)珪藻遺骸の有機炭素と生物ケイ酸の分解・溶解過程 上記研究航海において、西部北太平洋亜寒帯の高栄養塩低クロロフィル海域の表層水に鉄と栄養塩を添加培養して珪藻を主体とする植物プランクトンの増殖を促し、得られた高濃度懸濁態有機物を4℃の冷暗所に保管して生物ケイ酸と有機炭素の濃度変化を132日間追跡した。試料中の珪藻は主に小型の羽状目珪藻Cylindrotheca closteriumで占められていた。その生物ケイ酸は、低温環境下においても、約1ヵ月で70-80%が溶解して溶存ケイ酸として速やかに再生することが明らかになった。また、ケイ素制限下で増殖させた珪藻殻は窒素制限下のものよりも早く溶解する傾向を示すことが分かった。
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Research Products
(4 results)