2010 Fiscal Year Annual Research Report
天池堆積物の高分解能解析による過去5万年間の大気中の炭素14濃度変化の解明
Project/Area Number |
20310007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北川 浩之 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (00234245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹村 恵二 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00201608)
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Keywords | 炭素14 / 天池 / 湖沼堆積物 / 編年 / 画像解析 / 炭素14年代キャリブレーション / c中国東北部 / 地球化学分析 |
Research Abstract |
本研究は,中国東北部黒龍江省・内モンゴル自治区の山頂火山湖(中国語では「天池」という)の堆積物から高精度の気候変動シグナルを解読し,他の研究等で得られた気候変動復元カーブと編年対比を行ない,炭素14年代キャリブレーションカーブの信頼性を向上することを目的とした.堆積物の炭素14年代測定を高密度に行なうためには,微量試料を扱う必要がある.0.05mg以上の炭素を含む試料でも高精度な炭素14年代測定が可能となり,高い時間分解能な堆積物の編年が可能となった.さらに,本研究で堆積物のUV画像解析装置(PC制御可能な自動ステージ上の堆積物のUV画像を自動的に取得可能)を開発した,天池堆積物には有機物含有量が小さく,UV画像から気候変動シグナルを解読するに至らなかった.他の湖沼から採集した堆積物に本方法を適用し検討した結果,琵琶湖湖底堆積物等の有機物が多量に含まれた試料では有効であることが明確になった.また,本研究期間中に,堆積物試料の前処理の必要のないレーザ照射型誘導結合プラズマ質量分析装置(LAICPMS),レーザ誘起ブレークダウン分光分析装置(LIBS)の開発を行い,高分解能な堆積物コアの元素プロファイルの取得が可能となった.しかし,天池堆積物の元素組成を定量的に分析するためには,今後の課題として,LAICPMSとLIBSの再現性と精度の向上に向けた取り組みが必要である.本研究では堆積物コアの高度解析法の確立と並行して,過去の炭素14濃度変化を推定する数値モデルの構築,水月湖湖底年縞堆積物の編年を国内外の研究者と協力し再検討した.本研究の研究期間では,天池堆積物の高分解能解析最終ゴールである過去5万年間の大気中の炭素14濃度変化の解明には至らなかったが,過去5万年間の大気中の炭素14濃度変化の解明にむけた方法論的な基盤を確立することができた.
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Research Products
(10 results)