2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20310012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石坂 丞二 Nagoya University, 地球水循環研究センター, 教授 (40304969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清本 容子 (独)水産総合研究センター, 西海区水産研究所, 主任研究員 (90371989)
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Keywords | 有明海 / 懸濁物 / 一次生産 / リモートセンシング |
Research Abstract |
懸濁物質、光と一次生産の関係を定量的に把握するために、11月に長崎大学練習船鶴洋丸を用いて、大潮・小潮時の観測を行った。またこれまでに取得したデータをまとめることによって、以下のことを明らかとした。 1)炭素法(13C法)と蛍光法(高速反復蛍光光度計:FRRF)を用いた基礎生産測定手法を比較し、短時間培養での炭素法と蛍光法の瞬時値は表面を除けば、ほぼ一致すること。そして、24時間培養での炭素法と時間積算した蛍光法ではかなり差があり、これは主に潮汐による水の移動による影響と考えられた。蛍光法による昼間の1回の光-光合成の関係を利用することによって表面を除けば日光合成量の計算も可能であることが明らかとなった。 2)強光状態での植物プランクトンの光防御色素の形成による応答を評価するために、混合層や拡散係数と、光防御色素の割合、光合成系IIの光吸収断面と最大量子収率を比較した。その結果、成層が強い場合と比較して、有光層と比較して混合層が深かったり、有光層内での拡散係数が大きい場合に、光防御色素の割合が増加しにくい傾向があった。また有光層内での拡散係数が小さいときには光吸収断面が小さく、最大量子収率は大きい傾向があり、光防御が有効に働いていた可能性が示唆された。 3)表層の懸濁物質を強熱で減少する有機物と残渣の無機物、植物プランクトンであるCh1.aとに分けて、光消散係数、有光層と透明度の逆数で表される光消散の指標と比較した。無機物とCh1.aは独立であったが、有機物は無機物とCh1.aの両方と有意な相関を持ち、有機物が植物プランクトンやそれを起源とする物質と、海底の無機物と同様に変動する物質からなることが示唆された。また、3つの光消散の指標は、無機物とCh1.aを用いた重相関で表すことができ、両者が有明海の光消散に大きく影響していることが明らかとなった。
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Research Products
(11 results)