2009 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化とオゾン層破壊問題との政策的相互連関に関する分野横断的研究
Project/Area Number |
20310025
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 泰子 Kyoto University, 地球環境学堂, 准教授 (30310527)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 敦 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (30391064)
太田 宏 早稲田大学, 国際教養学術院, 教授 (70288504)
|
Keywords | オゾン層保護 / 気候変動 / 地球温暖化 / 科学アセスメント / 環境政策 |
Research Abstract |
本研究では、地球温暖化とオゾン層破壊問題の政策的相互連関のケーススタディを、A.国際政治一国内政策の相互関係と、B.主要国における地球温暖化とオゾン層破壊問題の政策的相互連関、の二つに分けて行った。A.では、相互連関の統合レベルと、相互連関する問題への対応の各国におけるプライオリティの二つの変数で交渉態度を予測することができるかどうかを検証する予定であった。具体的に、相互連関の統合レベルをMetcalfeの統合評価基準で評価しようとしたところ、同評価基準と実際の統合レベルとが矛盾するケース(名目の評価は高くなるが、実際には統合レベルが低くなるケース)が出てきたため、Metcalfeに代わる評価基準を考案せざるを得ない、という結論になった。現在、その代替案の評価基準の雛形を構築し、具体的なケースにこれから当てはめる段階にある。B.に関しては、主にアメリカを対象に調査を行った。環境保護庁にインタビューを行った結果、連邦レベルでは気候変動緩和とオゾン層防止を統合した政策はGreen Chi11と Responsible Appliance Disposalという二種類のプログラムしか動いておらず、オゾン層関係部局が単独でその実施に当たっている、ということが分かった。また、モントリオール議定書における交渉過程の参与観察を含めたアメリカのオゾン外交と国内政策との相互関係に関する分析を行った。その結果、アメリカはモントリオール議定書において積極的にHFCの規制を推進しているが、その背景として、アメリカ議会で審議されているワックスマン=マーキー法案や、新しい代替冷媒の技術開発が説明要因として挙げられる可能性が高いことが分かった。しかし、気をつけなければならないのは、アメリカ国内においても連邦レベルと州レベルといったマルチレベルな相互関係が温暖化政策に大きな影響を及ぼしていることである。
|
-
[Journal Article]2010
Author(s)
新澤秀則, 羅星仁, 阪本浩章, 植田和弘, 林宰司, 大島堅一, 島村健, 高村ゆかり, 橋本征二, 松本泰子, 久保はるか
-
Journal Title
温暖化防止のガバナンス (第8章「異なる問題領域間における非政府組織 (NGO) の役割-国際的環境NGOネットワークCANと国際協力NGO-」を執筆)(ミネルヴァ書房)
Pages: 185-212
-