2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト女性における放射線被ばくの遺伝的影響評価モデル
Project/Area Number |
20310033
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Research Institution | Radiation Effects Research Foundation |
Principal Investigator |
浅川 順一 Radiation Effects Research Foundation, 遺伝学部, 副部長 (10359458)
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Keywords | 放射線 / 被ばく / 遺伝的影響 / ヒト女性 / ラット |
Research Abstract |
ヒトの放射線被ばくによる遺伝リスクはその殆どを、特定遺伝子座を用いたマウス研究に依存している。しかしメスマウスの未成熟卵母細胞は極端に放射線に弱く死滅してしまうため、照射実験が成り立だない。本研究では、放射線照射したメス親から生まれたF1ラットを用いて、ヒト女性の放射線被ばくによる遺伝リスクの解明を目指し、本年度、下記の検討を行った。 DNA2次元電気泳動と画像解析:2.5Gy照射されたメス親から生まれた375頭のF1および同数の対照群、合計750頭の脾臓よりDNAを抽出し、2次元電気泳動を行った。得られた電気泳動像についてコンピュータ解析を行い、突然変異の検索に適していると判定されたメス親SDラット由来1,651個について、量的(遺伝子コピー数の変化)あるいは位置的変化を示す突然変異候補スポットを検索した。現在までに約1,500枚の画像について解析し、9例の突然変異を検出した。これらの突然変異について解析を進めているが、放射線で引き起こされる主たる遺伝子欠失は1例しかなく、メスの被ばくの遺伝的影響はオスに比べ小さいことが推定される。 マイクロアレイCGH法:アレイ法は一度の実験で200万以上の遺伝子断片について遺伝子コピー数の変化を検索できる、極めて効率的な遺伝子突然変異検索法である。このアレイ法を用いて、頻度10^<-5>/遺伝子座と著しく低い突然変異を正確に検出するため、先にDNA2次元電気泳動と画像解析により突然変異を有することが確認されたDNAについて、遺伝子突然変異を検出するための感度と精度を検討した。この結果を用いてアレイ実験法と解析法を確立し、次年度は2次元電気泳動法に加え、アレイ法による突然変異スクリーニングを行う計画である。これにより、放射線がヒト未成熟卵母細胞に及ぼす世界で初めての遺伝的影響評価を得ることができる。
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