2010 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類を用いた内分泌撹乱化学物質の神経発達への影響メカニズムの解析
Project/Area Number |
20310034
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 泰弘 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任教授 (80109975)
|
Keywords | 霊長類 / カニクイザル / 胎児脳 / ビスフェノール / 免疫染色 / プロテオーム / メチマゾール / 甲状腺 |
Research Abstract |
内分泌撹乱化学物質のヒトへのリスクの評価を行うにあたり種差を考慮し、ヒトと近縁な霊長類を用いた。これまでの研究成果からエストロゲン様作用物質であるビスフェノール、甲状腺ホルモンを阻害する作用を有するPCB等の代替としてメチマゾールを使用した。 ビスフェノール投与群に関しては脳の性的二型核における雌雄差の有無をプロテオーム解析した。曝露群のオスの雌化、暴露群メスの中性化傾向が見られた。コントロール群で有意差の見られたペプチドスポットを対象に、暴露群の雌雄差について検討を進め、候補蛋白群を広めて免疫組織染色により有意差を検索したが、形態学的には差を見つけるのは困難であった。ホルモン受容体を含めた定量的な解析が必要と思われた。 メチマゾール投与実験では、甲状腺ホルモン低下が胎児サル類の脳発達に深刻な影響を与えることが判ったので、そのメカニズムを解明する実験を進めた。妊娠時期の異なるステージ(妊娠前期、中期、後期、終末期)でのメチマゾール暴露個体から得られた胎児の脳を詳細に解析した。終末期(妊娠130日から末期150日までの投与)の影響が最も強かった。この結果に基づき再現性を得るためさらに4個体を追加し実験を進めた。またウエスタンブロットによる候補蛋白群の発現量の変化を定量的に解析した。暴露群の甲状腺肥大は明瞭な再現性が見られた、しかし、神経発達、蛋白発現には個体差が強く、暴露群での発達遅延の傾向は見られたが有意差は見られなかった。個体別の甲状腺ホルモン濃度と神経発達の相関を見たが、明確な関係は明らかにできなかった。影響の強く出る小脳プールキンエ細胞、大脳皮質椎体細胞などを標的とし、個体別の定量的な解析が必要と考えられた。
|
-
-
-
[Journal Article] Comparative proteomic analysis of macular and peripheral retina of cynomolgus monkeys(Macaca fascicularis)2010
Author(s)
Okamoto, H., Umeda, S., Nozawa, T., Suzuki, M., Yoshikawa, Y., Matsuura, E., Iwata,T
-
Journal Title
Exp.Anim.
Volume: 59
Pages: 171-182
Peer Reviewed
-
-