2009 Fiscal Year Annual Research Report
殺虫剤の生体影響リスク評価へのメタボノミクスの導入
Project/Area Number |
20310035
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
上島 通浩 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 教授 (80281070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 健次 名古屋大学, 医学部, 准教授 (80126870)
上山 純 名古屋大学, 医学部, 助教 (00397465)
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Keywords | 衛生 / 環境 / 社会医学 / リスク評価 / 農薬 |
Research Abstract |
尿中代謝物を用いてより低用量域における殺虫剤曝露のリスク評価を行うために、本年度は以下の検討を行った。有機リン系殺虫剤(OP)非特異的代謝物であるジアルキルリン酸の測定法を改良した。この改良法を用いて、職業的曝露群及び一般生活者集団(非曝露群)の尿中代謝物濃度を測定した。また、ピレスロイド系殺虫剤(PY)非特異的代謝物である3-フェノキシ安息香酸(3PBA)とともに、PY特異的代謝物であるジメチルシクロプロパンカルボン酸(DCCA)を測定した。基準値を求めるための検討として、冬季にサンプリングを行った結果、4種類の尿中ジアルキルリン酸代謝物(ジメチルリン酸、ジエチルリン酸、ジメチルチオリン酸、ジエチルチオリン酸)の幾何平均値はそれぞれ、職業的曝露群(n=68)では23.0、 3.8、 4.8、 0.7μg/L、非曝露群(n=196)では6.8、 1.7、 5.0、 0.3μg/L, 3PBA濃度は職業的曝露群で2.0μg/L、非曝露群1.8μg/L、DCCA濃度は職業的曝露群で0.7μg/L、非曝露群0.4μg/Lであった。夏冬の季節間の比較では、職業的曝露群、非曝露群ともにジエチルリン酸、ジエチルチオリン酸以外の代謝物で有意差がみられた。すなわち、職業的曝露群のみならず一般生活者集団においても、殺虫剤曝露量には散布頻度の高低に応じた季節差が存在することが明らかとなった。なお、顕性の健康影響は曝露量の多い職業的曝露群においてもみられなかった。OPの加水分解酵素であるパラオキソナーゼの遺伝子多型と代謝物量との関係については、職業的曝露群において現在検討中である。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article]2010
Author(s)
上島通浩, 他
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Journal Title
有機リン系農薬(ダイアジノン、フェニトロチオン、メタミドホス、ジクロルボスなど). 日本臨床増刊号 広範囲血液・尿化学検査 免疫学的検査:その数値をどう読むか2(日本臨床社)
Pages: 599-602
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[Journal Article]2010
Author(s)
上島通浩
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Journal Title
質疑応答「産業衛生 フェニトロチオンの健康被害」日本医事新報 4468(日本医事新報社)
Pages: 82-83
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[Journal Article]2009
Author(s)
那須民江, 他
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Journal Title
内科学総論 病因・病態 中毒 1. 中毒の病態. 内科学書改訂第7版Vol.1(小川聡編)(中山書店)
Pages: 62-64
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[Journal Article]2009
Author(s)
上島通浩, 他
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Journal Title
内科学総論 病因・病態 中毒 2. 工業毒中毒. 内科学書改訂第7版Vol.1(小川聡編)(中山書店)
Pages: 64-66
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