Research Abstract |
本研究は,プラズマによる廃棄物処理の優位性(大量処理が可能,起動停止が簡単)を活用し,固体,液体,気体それぞれの廃棄物に対応した新しいポータブル型廃棄物処理システムを開発することを目的としている。 H20年度では,水プラズマによる気体状廃棄物の処理を行った。PFC(パーフルオロカーボン)とHFCを分解するための反応器を設計した。CF_4分解中およびHFC134_a分解中に水プラズマ中に存在する化学種を分光的に測定することによって,水プラズマの温度と濃度分布を計測し,プラズマによる廃棄物処理という場で起こっている高温電離場中の反応機構を解明するための基礎データを取得した。 また,アーク電流が7Aのとき,0.215L/minのHFC134aを99%以上分解できた。このときのフッ素回収率はほぼ100%であった。水プラズマによってHFC134aを分解したときの副生成物はCHF_3、CH_2F_2、CH_3Fであると考えられる。PFC,HFCの分解率を高めるため,さらに副生生物の発生を抑制するには,水プラズマ中に酸素を添加することが重要であり,酸素添加の効果を実験および熱力学的に検討した。これらの結果から,水プラズマによるPFCとHFCの分解を比較すると, PFCでは分解解率がやや低いことに対して,HFCでは分解率そのものは高いが,分解後に副生成物が生成する結果を得た。 続いて,水プラズマを大気圧下の直流放電によって安定に発生するために,アークの変動現象を解析し,電極の特性を調べた。電極の特性を調べた結果,陰極からの金属蒸発よりも,陽極からの金属の蒸発が多いことから,安定な水プラズマを発生するには,陽極の構造が重要であることがわかった。
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