2010 Fiscal Year Annual Research Report
天然有用ファージを用いた有毒アオコ防除技術による水源環境保全に関する基盤的研究
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20310045
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
吉田 天士 京都大学, 農学研究科, 准教授 (80305490)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広石 伸互 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 教授 (00114190)
左子 芳彦 京都大学, 農学研究科, 教授 (60153970)
長崎 慶三 (独)水産総合研究センター, 瀬戸内海区研究所, 室長 (00222175)
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| Keywords | シアノファージ / アオコ / ミクロキスティス / 遺伝子水平伝播 / ラン藻 |
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| Research Abstract |
これまで有毒アオコ原因ラン藻ミクロキスティスに感染するファージの分離ならびにそのゲノム解読に成功した。本提案では、シアノファージの宿主ラン藻に対する作用機作についての知見を集積し、天然有用ファージを利用した新しい水環境保全技術・水圏生態系維持技術開発のための基盤を構築することを目的としている。
今年度の研究成果はいかに要約される。
(1)MaLMM01ファージ関連遺伝子のデータベース化
昨年度に続きミクロキスティスゲノム上のファージ感染履歴をコードする遺伝子領域(CRISPR配列)を解析した。CRISPRのサイズおよびスペーサー配列は株間で大きく異なり、ミクロキスティスが多様なファージに適応してきたものと推察された。また、アオコ発生水域の試水からCRISPRの部分配列を選択的に増幅する手法を確立し、環境よりファージの痕跡と考えられる多数の遺伝子断片を収集した。
(2)環境中でのファージ遺伝子を保有する宿主の分布
京都市広沢池において、シアノファージの動態調査を行った。シアノファージは、これまでと同様にミクロキスティスの細胞密度と連動して増減した。しかし、宿主画分(遠心ペレット)のファージ密度はウイルス画分(0.2mmフィルターによるろ液)に比べ、最大で1万倍高い値を示した。すなわち、従来のウイルス画分を用いて推定されたファージ生産は過小評価されており、ファージがミクロキスティスに与える生態学的インパクトは非常に大きいことが示唆された。
(3)Ma-LMM01株の宿主特異性決定機構の解明
ファージ感受性株に派生するファージ低感受性サブカルチャーより、単一細胞由来のサブクローン株2株を確立した。継代後も耐性が維持されていたことから耐性は遺伝的要因によることが強く示唆された。本種ゲノムに数多く散在する転移性因子をターゲットとしたRAPID解析において、野生株とのバインドパターンの違いは見出せなかった。したがって大規模なゲノム編成ではなく、点変異が耐性獲得に寄与していることが強く示唆された。
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