2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属カルシウムによる固相に吸着した残留性有機汚染物質の常温無害化処理
Project/Area Number |
20310046
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
三苫 好治 Prefectural University of Hiroshima, 生命環境学部, 准教授 (20301674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江頭 直義 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (90094060)
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Keywords | ダイオキシン / 金属カルシウム / POPs / PCBs |
Research Abstract |
本研究では、従来にない温和な条件下、焼却飛灰内部に吸着したダイオキシン類(DXNs)を高効率に分解可能な金属カルシウム(Ca)触媒法について、その特異な反応機構を詳細に解明し、さらに分解の高度化を図ることを目的としている。関与する機構は、主に以下に示す3つのプロセスと予想した。即ち、1.金属Ca等の外的要因によって焼却飛灰表面近傍に存在する金属酸化物の結晶構造が変化し、アルコールが飛灰内部へ容易に浸透可能になること、2.浸透したアルコールがDXNsをバルクへ溶出させて金属Caよって還元的に無害化されること、3.金属Caの消費に従い、副生した水素ガスが水素活性化触媒の作用でDXNsを触媒的に分解するプロセスである。そこで今年度は、金属Caが関与する飛灰表面での化学変化を追跡し、DXNs溶出促進の詳細な実験的証拠を得ることとした。以下に成果の一部を紹介する。JIS法に準拠して焼却灰の性状把握を行ったところ、Fe_2O_3、Al_2O_3、及びZnOの3成分で全体のおよそ48wt%を占めていたことから、それらを溶出に寄与する可能性の高い金属成分として注目した。次に、各種アルコール溶液への金属成分の溶解度を、Ca濃度等を変数としてICPを用いて検討し、併せて残渣表面の観察をSEM-EDS及びESCA等により行った。興味深いことに、アルコールのみでは溶出しない金属成分の幾つかが、所定量の金属Ca存在下、特定のアルコールへはパーセントオーダーで溶出することを見い出し、その際、必ずしも低級アルコールが好適ではないことも分かった。加えて、ある金属酸化物に対して一定割合の"ある鉄塩"が存在すると、金属酸化物の溶出は、鉄塩が存在しない場合に比較しておよそ10倍に促進されるという新知見が得られた。
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