2010 Fiscal Year Annual Research Report
燃焼プロセスから排出される気相析出型微粒子の生成機構の解明とその低減技術の開発
Project/Area Number |
20310048
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
二宮 善彦 中部大学, 工学部, 教授 (10164633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 直臣 中部大学, 工学部, 准教授 (50398575)
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Keywords | 粒子状浮遊物質 / トレースエレメント / 石炭 / バイオマス / 廃棄物 / 燃焼 / 素反応モデル / 分子軌道法 |
Research Abstract |
エネルギー資源である石炭、未利用資源である廃棄物、およびカーボン・ニュートラルで再生可能な資源であるバイオマスなどには、土砂や粘土鉱物などの主要鉱物に加え、砒素、ホウ素、カドミウム、鉛、水銀、モリブデン、セレンなどの有害金属をppmレベルで含んでいる。発電や熱利用プロセスにおいて、原料の高温反応・分解時に、燃料中に含まれるトレースエレメントの大気放出に伴う環境影響、生態や健康障害が、近年、問題になりつつある。本研究では、これらの燃料から発生する蒸気状有害元素ならびにそれらを冷却したときに生成する気相析出型微粒子(PM1)の低減機構に関する研究を3年間で実施した。 本年度の成果として、 1. 塩化揮発した重金属蒸気が冷却過程において気相析出する化学種の形態測定、およびその反応機構を明らかにした。昨年度と同様に、石英ガラス製ロータリキルン型反応装置を使用して、Pb、Zn, Cu, Cdを含むモデル試料を燃焼温度900~1050℃で塩化揮発化し、発生した金属蒸気を、ガス冷却装置を模擬した900~300℃に温度勾配をつけた3段の円筒濾紙型捕集装置で捕集して、その生成量と化合物形態を同定した。HCl/SO_2/H_2O共存下におけるH_2Oの影響、HCl/SO_2比に及ぼす金属化合物の析出挙動について検討し、共存ガスとしてH_2Oが存在する方がより安全なPbSO_4、CdSO_4が生成しやすいことを明らかにした。また、この傾向を理論的に説明するため、擬平衡反応器を用いた反応モデルを作成し、冷却ゾーンにおけるPb/Zn/Cu/Cd/Cl/SO_2/H_2O系の過冷却の粒子析出挙動について実験結果のシミュレーションを行った。 2. ab-initio量子化学計算法を利用してPb/O/Cl系の6本の素反応速度式の活性化エネルギーと頻度因子の再計算を行いその値を決定した。確定した反応速度式を利用して、反応シミュレーションを行ったところ、実験結果とほぼ傾向が一致し、本データの信頼性は高いと判断された。
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