2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20310053
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
坂口 浩司 Ehime University, 理工学研究科, 教授 (30211931)
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Keywords | ナノ材料 / 自己組織化 / 表面・界面物性 / ナノコンタクト |
Research Abstract |
我々は、単一分子レベルで導電性高分子の長さ・密度・方向・形を任意に制御しながら電極上に構築する新しい分子細線形成技術“電気化学エピタキシャル重合"を開発した。この方法は原料(モノマー)を含む電解質液中で、ヨウ素で表面修飾した単結晶金電極に電圧パルスを印加することにより分子細線を得る分子組織化法である。問題点は電気化学を用いておりモノマーのカチオンラジカル種を作り出さねばならないため、導電性基板を用いねばならない点である。そこで本研究では、電気化学エピタキシャル重合により、導電性基板上に高度に配列させた分子ワイヤを絶縁性基板上に分子レベルで転写する従来に無い新しい方法論“分子スケール転写"を開発し、その機構を表面科学的に明らかにすると共に、高性能の分子ワイヤトランジスターへの応用を図る。本年度は、電気化学エピタキシャル重合を用いて、ヨウ素で表面修飾した原子平坦な金属電極上に分子レベルでモノマーを重合させ、望みの層数を持つポリチオフェンワイヤーの二次元結晶を作成することを目的とした。モノマーとして3-メチル-4-ブチロキシチオフェンを用い電気化学エピタキシャル重合により、レイヤーbyレイヤーで、単一分子レベルで制御しながらポリチオフェン積層構造を構築した。作成した積層構造の表面状態を走査トンネル顕微鏡(3,4層レベルまで)、原子間力顕微鏡(それ以上の層数)を用いて観測したところ、ポリチオフェンワイヤーが単層表面と同様に一軸方向に高度に配向した構造が得られることが分かった。モノマー濃度や印加電圧を最適化し、一方向に配向した平均長さ50nm〜100nmのポリチオフェンワイヤーから成る大面積二次元結晶に近い構造体を得ることができた。
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