2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20310053
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
坂口 浩司 京都大学, エネルギー理工学研究科, 教授 (30211931)
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Keywords | ナノ材料 / 自己組織化 / 表面・界面物性 / ナノコンタクト |
Research Abstract |
我々は、単一分子レベルで導電性高分子の長さ・密度・方向・形を任意に制御しながら電極上に構築する新しい分子細線形成技術"電気化学エピタキシャル重合"を開発した。この方法は原料(モノマー)を含む電解質液中で、ヨウ素で表面修飾した単結晶金電極に電圧パルスを印加することにより分子細線を得る分子組織化法である。問題点は電気化学を用いておりモノマーのカチオンラジカル種を作り出さねばならないため、導電性基板を用いねばならない点である。そこで本研究では、電気化学エピタキシャル重合により、導電性基板上に高度に配列させた分子ワイヤを絶縁性基板上に分子レベルで転写する従来に無い新しい方法論"分子スケール転写"を開発し、その機構を表面科学的に明らかにすると共に、高性能の分子ワイヤトランジスターへの応用を図る。本年度は、電気化学エピタキシャル重合を用いて、ヨウ素で表面修飾した原子平坦な金属電極上に分子レベルで重合させたポリチオフェンワイヤーの電界効果トランジスタを作成し、ホール移動度の測定を目的とした。電界効果トランジスタとしては、絶縁性基板上に転写したポリチオフェンワイヤーにシャドウマスクを用いた金の真空蒸着によりゲート長10ミクロンのソース、ドレイン電極を取り付け、その上にイオン液体を浸し、これにゲート電極(白金線)を取り付けるトップダウン配置の電気二重層型のトランジスタを作成した。ホール移動度を測定したところ非常に大きな値が得られ、これは従来発表されたP3HTの電気二重層トランジスタの値を大きく凌駕するものであることが分かった。
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