2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20310055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八尾 誠 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70182293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永谷 清信 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30273436)
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Keywords | 単一分子計測 / 電気伝導特性 / 分子ワイヤ / 内殻励起分光 / 多重同期計測 |
Research Abstract |
分子イメージング計測による分子内の電荷拡散計測法の確立を目指して、構造が異なる典型的な分子試料での計測と解析手法の検討を進めた。具体的にはサイズの異なるいくつかの鎖状分子試料、構造異性体を有する芳香族試料等について、放射光X線の照射によって生成する解離イオンの分子イメージング計測を行うことで、分子中に生成した電荷の移動の分子サイズ・構造依存性を検討した。鎖状分子の実験からは、分子鎖長と共に系統的に電荷移動が変化する傾向が確認できた。芳香族分子の実験からは分子イメージングによって解離前の分子形状が明瞭に区別できることを確認すると共に、イオン収量の詳細な解析から、構造異性体間の構造の違いに由来すると推測される電荷分配の違いを見出した。本課題で開発した手法により分子内電荷移動の定量な評価が可能なことを示唆する結果が得られた。 巨大分子試料のビーム生成のためのエレクトロスプレーイオン源を製作した。試料生成の重要なパラメータである試料流量、噴霧ガス流量、印加電圧によるビーム生成の様子を確認した後に、真空槽内に設置して、質量分析法によって生成する試料ビームの評価を進めた。 単一分子の物性評価に有望なX線自由電子レーザー(XFEL)光源の利用に向けて、その試験装置であるSCSS(Spring8 Compact SASE Source)試験加速器を用いて、自由電子レーザー利用実験のための技術開発実験を行った。今年度は特に、試料の電子状態を明らかにするための電子分光技術の開発を進めた。運動量画像計測法を採用することで、高強度のFEL照射による多光子吸収過程についても電子スペクトル計測が可能であることを確認した。
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