2011 Fiscal Year Annual Research Report
人工ポルフィリンアンテナ薄膜による光電変換デバイスの開発
Project/Area Number |
20310056
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
浅岡 定幸 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (50336525)
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Keywords | ナノ材料 / ナノバイオ / 高分子合成 |
Research Abstract |
本研究課題ではこれまでに、親・疎水鎖の連結点にポルフィリンを導入した両親媒性液晶ブロック共重合体を用いることにより、基板に対して高規則性の完全垂直配向したシリンダー型のミクロ相分離構造の相分離界面に、ポルフィリンを位置選択的に集積化する手法をすでに確立している。しかし従来の設計では、ポルフィリンユニットは主鎖周りに自由回転することができるため、配向方向制御が困難であった。そこで、ポルフィリン環の直近にトリアゾール環を有するブロック共重合体を合成し、トリアゾールのポルフィリンの中心金属(Zn)への軸配位を通じて配向方向の制御を試みた。得られた共重合体は、溶液中では軸配位の生成が認められなかったが、薄膜中では紫外可視吸収スペクトルにおいてSoret帯が2つに分裂して長波長シフトし、軸配位の生成が確認された。しかしながら、この共重合体薄膜では、シリンダーの配向方向は基板に対して水平配向となり、単純な熱処理のみでは垂直配向の実現が困難であった。そこで種々の製膜条件を検討した結果、製膜溶液にイミダゾールを添加することによって、一旦直近トリアゾール環のポルフィリンへの軸配位を阻害した上で製膜し、熱処理時に真空加熱する際にイミダゾールを除去することによって、改あてトリアゾール環を軸配位させる手法を採ることによって、垂直配向性を改善できることを見出した。 疎水性側鎖型液晶ポリメタクリル酸エステルのリンカー部分を短くすることによって、マトリクス部のスメクチックレイヤー間距離を短縮し、連結点に導入したポルフィリンユニットの膜厚方向の相対距離を短くすることができる。これまでに合成した側鎖アルキル鎖の炭素数が11のものに比べ、5や6のものでは、ポルフィリンの蛍光寿命の顕著な短寿命化が観測された。この結果から、ポルフィリンユニット間の距離が短縮されたことによって、励起エネルギー移動が促進されたことが示唆された。
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