2011 Fiscal Year Annual Research Report
探針-試料間電圧印加チューニングによる結合形成過程の原子分解能・顕微分光解析
Project/Area Number |
20310058
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
新井 豊子 金沢大学, 数物科学系, 教授 (20250235)
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 化学結合 / 結合形成過程 / ナノ表面・界面 / 顕微分光 |
Research Abstract |
本研究の目的は、独自開発した電圧印加非接触原子間力顕微鏡/分光清(Bias nc-AFM/S)を発展させ、探針と試料を極接近させたときに試料表面上の原子・分子と探針先端原子との間で進行する結合形成の過程・電子状態の変化を明らかにすることである。 1.清浄化・先鋭化探針の作製と探針先端への分子修飾 市販シリコン探針及び、電解研磨により直径50μmのPt-Ir線を先鋭化したPt-Ir探針を加熱しながら、高電圧を印加することで、探針最先端原子をわずかに動かし、安定な原子配列で先鋭化した探針を作製した。このSi探針の先端原子はダングリングボンドを持つと推定された。超高真空チャンバーに水素ガスを導入し、タングステンフィラメントを用いた自作のガスクラッカーにより原子状水素にし、Si探針先端のダングリングボンドを水素修飾した。 2.試料の調製と測定 Si(111)7x7再構成表面を形成した後、微量の原子状水素を吸着させた表面を試料とした。原子状水素はSi(111)7x7再構成表面のダングリングボンドを持つアドアトム、レストアトムに吸着する。レストアトムに水素が吸着すると隣接するアドアトムの局所電子状態密度が増加する。 水素が吸着したアドアトムと探針先端原子間の結合力は弱くなり、トンネル電流も減少した。隣接したレストアトムに水素が吸着したアドアトムと探針先端原子間の結合力は強くなり、トンネル電流も増加した。これらのことから、Si-Si原子間の共有結合力はトンネル過程と同様、局所電子状態密度に強く依存していることを明らかにした。また、水素が吸着した探針を用いて同様の試料を測定した結果、吸着水素原子とSiダングリングボンド間にも弱い結合力が働くことを明確にした。さらに、わずかにプラス、わずかにマイナスに帯電した水素原子間に二水素結合と考えられる結合力が観察された。
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Research Products
(15 results)