2009 Fiscal Year Annual Research Report
高集積ナノワイヤーの創製とその特異的・異方的電子状態の顕微偏光分光法による観測
Project/Area Number |
20310066
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小平 哲也 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, コンパクト化学プロセス研究センター, 主任研究員 (40356994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江島 丈雄 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (80261478)
池田 拓史 独立行政法人産業技術総合研究所, コンパクト化学プロセス研究センター, 主任研究員 (60371019)
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Keywords | 半導体量子細線 / ゼオライト単結晶 / 顕微分光法 / 粉末X線回折法 / 光電子分光 / 一次元電子系 / 偏光分光 |
Research Abstract |
内径0.73nmの一次元細孔を有する多孔性結晶AlPO_4-5の100μm程度の単結晶をマトリックスとして利用し半導体量子細線を互いに平行かつ高密度に安定化させる。その異方的電子状態を近赤~紫外スペクトル及び軟X線光電子スペクトルに対する顕微分光技術により明らかにする。これを達成するため,本年度は主として下記の点に注力して研究を進めた。 1.高感度顕微分光法の開拓 ラマン散乱は一般にその信号強度が低く、高感度な検出器と組み合わせた測定系が望ましい。そこで、ポリクロメータと冷却型CCDカメラを組み合わせた検出システムを新たに追加・組み込みし、更なる装置拡張を行った。 2.AlPO_4-5に導入するS, Se, Teの吸着量の同定と吸着メカニズムの解明 S, SeはAlPO_4-5のAlPO_4-5骨格の弱い正負の周期的電荷変調により吸着されるが、Teは固体の凝集エネルギーの方が勝るため、バルク体として結晶外で固体として存在する方が安定であることが分かった。 3.AlPO_4-5に導入するアントラセンの電子状態、分子構造と吸着温度との相関 有機半導体の一種、アントラセン分子をAlPO_4-5に吸着させると、その光吸収スペクトルには孤立分子や結晶アントラセンには見られない新規なピークを生じる。このピークは吸着温度と相関があることを見出した。 4.AlPO_4-5及びその類縁物質の光電子分光法(XPS)による化学組成の定量 Al, P, O原子の化学組成比を決定する目的でXPSによる定量を行ったが、スパッタによる表面研磨時に元素種依存の選択的原子脱離が生じ、化学量論的に疑わしい結果を得た。このことは今後の量子細線内包試料の測定における注意点としてノウハウ形成として役立った。
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