2008 Fiscal Year Annual Research Report
集束イオンビーム3次元ナノ構造によるバイオナノツールの作製と評価
Project/Area Number |
20310068
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
松井 真二 University of Hyogo, 高度産業科学技術研究所, 教授 (00312306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 一浩 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 准教授 (20201452)
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Keywords | 集束イオンビーム / CVD / バイオツール / ダイヤモンドライクカーボン / 立体ナノ構造 |
Research Abstract |
フェナントレンガス(C_14H_10)ソースを用いたダイヤモンドライクカーボン(DLC)堆積薄膜の評価をこれまでに行ってきたが、水素含有量による材料物性評価が機械的強度に関係すると考えられる。そのため、ダイヤモンドライクカーボン堆積薄膜の水素含有量を測定した。FIB-CVD DLC薄膜の元素組成をRBSとERDAで測定した結果、Cが87.4%、Gaが3.6%、Hが9.0%であった。また、FIB-CVDで作製したDLCでは一般的なCVD法と比べてやや水素含有率の少ないDLCが生成されていることが分かった。 FIB-CVD DLCの物性のうち、DLCピラーのヤング率は堆積速度によって、80-600Gpa程度まで変化する。このDLCのヤング率等の機械的強度に影響を与える要因のひとつにHの含有率が考えられる。一般的にDLC薄膜では水素含有量が多いほどヤング率が小さく、少ないほどヤング率が大きくなる傾向が知られている。ナノピラーと薄膜は同じ装置と原料ガスで作製しているため、今回の測定でHの存在が明らかになったDLC薄膜と同様にナノピラーでもHを含むと考えられる。そのため、ヤング率や密度が幅広い値をもつ理由の一つとして、Hの含有量の違いがあるのではないかと推測される。 さらに、DLCの機械的強度などの物性はCの結合状態によっても大きく異なる。今回の測定で、DLCの構成元素に3.6程度あるGaがCのsp3構造形成を促進しているという結果が得られている。炭素原子間における構造はダイヤモンドに由来するものであり、sp3構造が多いほどDLCの機械的強度が大きくなると考えられる。これにより、ナノピラーのヤング率が堆積速度で変化する理由の一つにGaの含有量の違いがあると推測される。
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Research Products
(5 results)