2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ加工ガラスを用いた細胞膜タンパク質一分子蛍光その場観察手法の開発
Project/Area Number |
20310069
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
谷井 孝至 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20339708)
|
Keywords | ナノ加工 / ゼロモード導波路 / 一分子イメージング / 一分子蛍光 / 膜タンパク質 / 生体分子間相互作用 |
Research Abstract |
細胞膜上で高濃度に発現した膜タンパク質間の相互作用をリアルタイムにその場で観察するために、細胞を接着させるスライドガラスに予めナノ加工を施し、作製したナノ構造配列を通して近接場を局所的に発生させ、近接場内で1分子間相互作用を蛍光イメージングすることが目的である。 2011年度には、細胞をスライドガラス上に固定する技術の構築と、遺伝子導入によるタンパク質の蛍光標識を行った。モデルとして、ヒト膵臓癌細胞とラットの海馬の神経細胞を用いた。ヒト膵癌細胞では、末端基の異なる有機シラン単分子膜を用いることにより、ガラス基板表面に細胞接着可能領域と細胞接着阻害領域とを予め作り込み、その後に細胞を播種することで、1細胞レベルでの固定を可能にした。神経細胞では、酸化チタンの光触媒能を積極的に活用して、軸策と樹状突起を特定の方向に伸長させる技術も構築した。加えて、遺伝子導入により、軸策特異的に発現するタンパク質(kif5C)を蛍光で特異的に染めることにも成功した。 一方、細胞接着可能な平坦な表面を持つナノ導波路の作製プロセスの再現性の向上を図つた。自然な状態で細胞を導波路上に接着させるために、導波路コアを埋め込む材料のエッチング厚の制御が重要となる。エッチング時に触針膜厚計で逐次モニタリングしながらエッチングを施すことでこれを達成した。 これらの技術を組み合わせることにより、直径100nmのナノ導波路の配列上に(間隔5μm)、1細胞レベルで細胞体、仮足、神経突起、などを局所的にアライメントした状態で接着させ、それでもなお、細胞の機能活性を維持することに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膜タンパク質間相互作用一分子蛍光観察のためのナノ導波路の設計において、予めシミュレーションで予測した結果と、実際に試作した導波路の性能に乖離があり、設計にフィードバックをかけて構造を改良する作業を当初の予定より多く繰り返していることが原因である。その他の要素技術については概ね予定通り進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
シミュレーションで予測した結果が実験系で得られていないことが計画遅れの要因であるので、当初の計画段階には盛り込んでいなかった新たなアイデアを盛り込むことで、実験系での成果を挙げていく予定である。具体的には、導波路表面での励起光強度を劇的に高める必要があり、導波路のクラッドを形成するために用いていたアルミニウム薄膜を銀薄膜に代えて、表面プラズモンを励起できるように構造を改める。
|
Research Products
(13 results)