2008 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒レーザー衝撃を用いたハイスループット液中極微量試薬添加技術の基礎検討
Project/Area Number |
20310075
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
岡野 和宣 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 研究員 (00443250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増原 宏 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特任教授 (60029551)
細川 陽一郎 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特任准教授 (20448088)
宇和田 貴之 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 研究員 (30455448)
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Keywords | システム細胞工学 / 液中試薬添加 / フェムト秒レーザー |
Research Abstract |
マイクロ・ナノバイオ研究基盤技術として、フェムト秒パルスレーザーの液中照射時に集光部で溶媒が多光子吸収を起こして発生する局所的な爆発現象"マイクロ・ナノ津波"を駆使して、生理活性物質を液中で局所添加する研究している。試薬を固定した試薬基板作製と、フェムト秒レーザーを液中で試薬基板に対して照射して試薬を液中に放出させる条件検討を行い下記の成果を得た。 1)試薬基板:ガラス表面をアミノシランカップリング処理して正荷電表面を作り、その上にモデル試薬(蛍光ナノ粒子)を静電的にを吸着させ、吸着したモデル試薬の非特異溶出を防ぐために、正電荷を持つキトサンと負荷電を持つ硫酸デキストランをこの順でコートすることで、溶液中で安定な試薬固定基板を作製できた。本方法は含水性の生体ポリマーを用いたマトリックスの中に試薬を保持することができるため、細胞刺激に用いる生理活性物質やペプチドやDNAを固定するのに有効と考えている。 2)試薬放出現象の解析と最適条件検討:蛍光ナノ粒子を固定したモデル試薬固定基板を水中に設置し、基板内部、表面、基板から離れた水中の各部位にフェムト秒レーザーを集光して蛍光ナノ粒子が基板から放出される状況を観測した。その結果、ガラス表面から数10μmはなれた水中に集光することで効果的に蛍光粒子が放出されることがわかった。試薬基板上のキトサンと硫酸デキストランのマトリックスがマイクロ・ナノ津波により破壊されるために、基板表面に吸着していた試薬(蛍光ナノ粒子)が放出されることを示している。蛍光粒子はレーザー照射後30秒で50μmに達し、そのときの蛍光粒子の飛散範囲は直径50μmであった。このように狭い範囲に試薬を塗布することができるので、特定細胞の試薬刺激の実現性を示すことができた。
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Research Products
(14 results)