2009 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒レーザー衝撃を用いたハイスループット液中極微量試薬添加技術の基礎検討
Project/Area Number |
20310075
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
岡野 和宣 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 研究員 (00443250)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増原 宏 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特任教授 (60029551)
細川 陽一郎 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特任准教授 (20448088)
宇和田 貴之 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 研究員 (30455448)
|
Keywords | システム細胞工学 / 液中試薬添加 / フェムト秒レーザー / 液中表面改質 |
Research Abstract |
マイクロ・ナノバイオ研究基盤技術として、1)フェムト秒パルスレニザーの液中照射時に集光部で溶媒が多光子吸収を起こして発生する局所的な爆発現象"マイクロ・ナノ津波"を駆使して、試薬包埋基板から生理活性試薬を局所添加する技術、2)液中で基板表面にフェムト秒レーザーを照射したときに起きる新たに観測した現象とこれを用いたバイオ応用可能な基板加工技術についての先行的な結果を報告する。 1)試薬の液中添加:ガラス表面にアドレナリン、ハロペリドール、アセチルコリンを基板上に塗布した試薬基板を作成した。マウス由来P19CL6細胞をジメチルスルホキシドで心筋様拍動細胞に分化誘導した細胞塊上に培地を介して試薬基板を配置し、フェムト秒レーザーを照射した。その結果、アドレナリンン固定基板では拍動周期が上昇し、アセチルコリン基板では拍動が停止することが観察された。ハロペリドールでは、明確な結果は得られなかった。本方法は液中での非接触試薬添加が可能と結論した。 2)新現象:上記試薬添加に関しては、レーザーを液中集光している。これはガラス基板上に緩やかに保持されている試薬苞埋ポリマーに対して有効な方法である。これに対して基板上に化合物を化学的に強固に固定した基板に対してレーザー照射を試みた。その結果、液中に配した基板の内部にレーザーを集光すると、表面の化合物が飛散するのではなく熱的あるいは光化学的な修飾を受けた。テフロン系高分子を固定した細胞非接着性表面を持つガラス基板内部をフェムト秒レーザー(0.5mW、1kHz)で20μm/Sの速度で走査したところ表面が細胞接着性に変化した。レーザー照射表面のAFMやXPSによる表面分析結果では、テフロン系高分子からフッ素が離脱し、炭素あるいは炭化水素が表面を覆っている結果となった。このため細胞が接着するようになったと予想される。本方法は、液中での表面改質が可能なので、基板上で異種細胞を配置したり、細胞間をつなげるチャネルを形成したりする技術に応用できると考えている。
|
Research Products
(18 results)