2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20310076
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
古川 一暁 NTT Basic Research Laboratories, 機能物質科学研究部, 主任研究員 (40393748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樫村 吉晃 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 研究主任 (90393751)
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Keywords | 人工細胞膜 / 脂質二分子膜 / 支持膜 / 動的分子操作 / バイオインターフェース / 単一分子 |
Research Abstract |
平成21年度の「研究実施計画」にしたがい研究を推進し、以下の成果が得られた。 1.電極を用いた支持膜内の分子操作・分子計測 自発展開によってナノギャップ電極部位を通過する脂質二分子膜中の色素結合脂質分子の挙動について、ナノギャップ間隔と色素の立体障害や結合位置との相関を明らかにした。さらにナノギャップ電極間に一定の直流電圧を印可した状況で自発展開挙動が停止する現象や、この印可電圧のオンオフにより自発展開の停止・開始の制御が可能なことを、予備的な実験結果として得た。これらは、本研究課題の目標である「固体表面に支持した人工細胞膜を利用した固体表面上の動的な分子操作」技術の実現につながる重要な成果である。 2.マテリアルの拡充 Niキレート型の構造を含む脂質分子とHisタグを持ったタンパク質の組み合わせを選択し、自発展開によって緑色蛍光タンパク質GFPを輸送することに成功した。本手法は、多くのHisタグを持ったタンパク質に適用可能であるため、今後のマテリアルの拡充に重要な貢献をもたらす成果である。 3.自発展開脂質二分子膜のナノ流体としての性質 異種材料からなるパターンを有する表面において、自発展開膜とパターン壁とに引力的相互作用があることを現象論的に明らかにした。また、自発展開膜が単一の脂質二分子膜であることを、原子間力顕微鏡による直接観察によって実証した。これらの成果は、いまだ調べられていない自発展開膜の基礎的な現象を実験的に明らかにした点で重要である。
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