2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20310080
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
長谷川 剛 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA主任研究者 (50354345)
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Keywords | ナノデバイス / 走査プローブ顕微鏡 / 原子スイッチ / 固体電気化学反応 / 金属原子架橋 / 学習機能 |
Research Abstract |
固体電気化学反応を用いて電極間での金属原子架橋の形成と消滅を制御して動作する原子スイッチの多機能化を目指した研究を行った。平成22年度は特に、固体電解質電極サイズに依存した揮発性・不揮発性動作の選択と、その3端子構造開発への応用に関する研究を推進した。具体的には、揮発性・不揮発性動作に関する研究では、固体電解質電極として硫化銀を、対向電極として白金を用いた原子スイッチ構造を作製し、その動作特性評価と新機能開発を行った。その結果、適切な強度の入力信号を用いることで、一定の入力信号が到達するまでは外部出力を変化させることなく固体電解質電極内部に入力情報を蓄えられること、一定の入力信号が到達して初めてオンオフ動作させうることを見いだした。この動作はいわゆる学習機能に対応しており、原子スイッチが脳型回路素子に要求される高い機能をも有することが本研究によって明らかになった。3端子構造開発への応用では、揮発性・不揮発性動作の起源である固体電解質電極サイズの制御が重要であるという過年度までに得られた知見を基に、金属原子の供給源であるゲート電極のサイズを制御することで、ソース・ドレイン電極間のみが供給された金属原子によって電気的に接続され、ゲート電極は絶縁されたままとなる理想的な3端子動作を実現することに成功した。これら本研究で開発された原子スイッチの新しい機能は、固体素子ですべてが構成された脳型回路の研究開発や、非ノイマン型コンピューターの開発などに貢献するものと期待できる。
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