Research Abstract |
特許ライセンスの様々な方法,ライセンスのオークション,ライセンス料を提示しての売買,売り手と買い手の交渉を通じてのライセンス契約など,について,研究代表者,分担者がそれぞれのテーマを決め研究を行った。 研究代表者の武藤と分担者の渡邊は,主に交渉を通じてのライセンス契約を協力ゲーム理論の観点から分析した。考察したのは,「交渉を通じてライセンスの売買契約を締結する場合,特許権者は何社と交渉すべきか」という問題であり,一般的には非常に多くの交渉妥結点を含む解概念である交渉集合がある条件の元では一点に定まることを示した。さらに,市場に非常に多くの企業が存在する場合には,交渉集合は常に一点になり,更に非協力ゲームのメカニズムを利用してライセンスする場合と全く同じ結果を導くことを示した。この後者の結果をバックアップする研究として,研究分担者の中丸は,専門の生物学をベースに多数の企業の間の競争をシミュレートするエージェントベースモデルを開発し,企業の数が非常に多い場合における企業行動のシミュレーションを行った。研究分担者の大和は,専門のメカニズムデザインの観点から,望ましいライセンスのオークション制度の分析を行い,交渉によるライセンス契約との比較を行った。 それぞれの成果は,International Journal of Game Theory, Economic Theory,Journal of Theoretical Biologyなどゲーム理論,経済学,数理生物学の分野における一流国際論文誌に掲載され,国内外の数多くの学会において報告されている。
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