2008 Fiscal Year Annual Research Report
アムールプレート日本縁辺の地震発生帯に関する構造地質学的研究
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20310103
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
竹内 章 University of Toyama, 大学院・理工学研究部(理学), 教授 (20126494)
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Keywords | 地震 / 地震発生帯 / 日本海東縁 / ひずみ集中帯 / 変動地形 / アムールプレート / 海底活断層 / 構造地質学 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は、主につぎの4点にまとめられる。 1.北海道南西沖地震震源海域の調査航海により、海底地形調査と音響イメージングを実施し、同地震発生直前(1989年)に掘削されたODP796孔を発見・観察した。孔壁には地震時の割れ目が3条出現し,斜面に並行する1条は少なくとも数十mの長さで伸びていた。震源域の地盤変状を検討するうえで重要な資料であり,軟岩中の構造物は存外頑丈であることが証明された。2孔のうち別の1孔は地盤表面の震動破砕物に紛れて発見できなかったが,地下では掘削孔全体の崩壊は免れたと推察される。 2.この航海では,同地震の震源断層が海底に到達したと考えられる奥尻海嶺/後志海盆境界部の活断層の音響イメージングを行い,地震断層の存在を確認した。目視のみでは決着が付かない海底地震断層の存否論争に終止符を打つ見込みであり,海底活断層の評価方法の確立に寄与できる。なお,中越・中越沖地震や能登半島地震など一回り小さい規模の地震では地表断層は出現していない。 3.文部科学省研究委託事業「ひずみ集中帯の重点的調査観測・研究」と連携して,北陸と中越地域で実施しているGPS測地観測により蓄積された10年間のデータと結合して解析した。信濃川地震帯の両側で発生した2004年中越地震と2007年中越沖地震は,マグニチュード6.8程度の地殻地震が立て続けに発生しても,蓄積している地殻歪エネルギーは解放し尽くされないことを示唆する。国土地理院GEONETデータの解析により,新潟県中越沖地震の発生に先立つ前駆的変動を検出した。それは,能登半島地震の発生を契機としていたことから,併走する別の歪集中帯の相互連関が予想され,第三紀層堆積盆基底のすべりによる活褶曲や直下基盤の短縮を統合した新しい地震テクトニクスの確立に寄与する。
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Research Products
(11 results)