2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20310114
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 隆司 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (90201326)
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Keywords | 非コードRNA / ノイズ / 転写 / ロバストネス |
Research Abstract |
我々は、出芽酵母の完全長cDNA解析によって、予想外に多数の非コードRNA(ncRM)の発現を見出した(Miura et al.PNAS 2006)。本研究では、モデル生物としての酵母の特性を活用しながら、これら多数のncRNAの中から機能性分子を同定する方法論の開発を目指し、以下の3点に検討を加えた。 (1)酵母人工染色体と高出力タグカウント技術を用いて、異種生物ゲノム配列からの転写開始を解析し、非生物学的なノイズ性転写の基盤にある物理化学的特性の解明を試みた。具体的には、マイコプラズマゲノムを人工染色体として保持した酵母株の発現タグカウンティングを行ない、あるパターンを持った転写が起こることを昨年度までに確認した。この結果を踏まえて、今年度は、より高精度・高感度のデータを取得するために、タグカウンティング法の改良とエクソソーム核因子Rrp6の遺伝子破壊によるncRNAの安定化を進め本格解析の準備を整えた。 (2)細胞の転写容量が制限された場合においても、発現が頑強に維持されるncRNAをタイリングアレイや高出力タグカウント技術を用いて同定するために、RNAポリメラーゼIIの最大サブユニットRpb1遺伝子のプロモータ置換を試み、昨年度までにその量が1/10まで下がった株を得た。今年度はこれらの株の性格付けとタイリングアレイ解析を行なった。その結果、タンパク質コード遺伝子よりもCryptic Unstable Transcript(CUT)の発現の方が転写容量制限に対して敏感である一方、機能性ncRNAであるsnoRNAの発現はタンパク質コード遺伝子と同様の頑強性を示すことを見出した。 (3)昨年度に続いて、減数分裂期に発現誘導されるncRNAとして、CLN1およびCLN2の上流のuCLN1とuCLN2の解析を行い、転写因子Ndt80による制御をを受けることを示す結果を得た。
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Research Products
(1 results)