2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20310115
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中井 謙太 The University of Tokyo, 医科学研究所, 教授 (60217643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下部 岳広 甲南大学, 理工学部, 教授 (40280862)
井上 邦夫 神戸大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40252415)
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Keywords | カタユウレイボヤ / 小分子RNA / ゲノム解析 / 特異的発現 / 次世代シークエンサー |
Research Abstract |
近年、miRNAなどの小分子RNA(ncRNA)が、さまぎまなメカニズムで広い範囲の細胞機能や発生過程に重要な役割を果たしていることが明らかになってきている。また、それら小分子RNAの生合成や機能発現にはDicer, Drosha, Piwi/Argonauteなどの遺伝子ファミリーも種を超えて関わっていることが明らかにされつつある。そこで本研究では、これまで我々が行ってきた脊椎動物のモデル生物(ホヤ)の転写制御領域に関する研究経験をいかして、理論と実験を組み合わせて、ホヤゲノムにコードされた小分子RNAの機能解明を目指している。また、ゼブラフィッシュとの進化的保存性を調べることで、脊椎動物の研究へも新しい角度からの貢献を目指している。今年度の成果としては、まずゼブラフィッシュなどの脊椎動物の筋肉細胞発生に重要な役割を果たすことが知られている2種類のmiRNA(miR-1,miR-133)のホヤホモログについて、その転写調節領域を単離し、蛍光レポーターを用いて、幼生筋特異的な発現を得ることに成功した。現在、詳細な転写制御配列の解析と、Kaedeレポーターを用いた発現細胞の追跡を行っている。また、上述のDicerなどの小分子RNAの生合成などに関わる遺伝子群の解析も行った。ホヤゲノムにはDicer, Droshaはそれぞれ一遺伝子しかコードされていない。Argonauteも一遺伝子だが、piwiは2個のファミリーメンバーが存在する。これらの遺伝子はホヤの発生において非常に早い段階で発現していることを確認した。特にpiwiの二つの相同遺伝子のうちの一つの転写調節領域を単離し、蛍光レポーターによってその発現パターンを再現することに成功したので、今後、より詳細に発現細胞の追跡と、転写制御領域の解析を行う。最後に、次世代シークエンサーを用いた、組織特異的・発生時期特異的サンプルの網羅的なトランスクリプトームデータが得られており、現在その解析と整備を進めている。
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