2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20310117
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中東 憲治 Keio University, 政策・メディア研究科, 准教授 (70322740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石濱 泰 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 准教授 (30439244)
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Keywords | タンパク質ターンオーバー / タンパク質分解 / プロテオミクス / タンパク質代謝 / 分子遺伝学 / 大腸菌 |
Research Abstract |
細胞の倍加時間3.5時間に保った定常状態の大腸菌を用い、研究計画での目標を超える1300種類以上のタンパク質についてターンオーバー速度のデータを得た。タンパク質全体として考えた場合、分解速度は合成速度の1/100以下に過ぎず、個々のタンパク質種を見た場合、半減期3.5時間以下のタンパク質は56種類(約4%)しか含まれていなかった。測定できたタンパク質は発現量が10分子/cell以下から1000分子/cell以上まで含まれており、少なくとも定常状態を保っている大腸菌においては、タンパク質分解は細胞内プロテオームを決定する大きな要因になっていない可能性が示唆された。環境条件の変化にともないプロテオームが再構成される過程でのタンパク質分解の役割を明らかにするため、個々のタンパク質種の分解、合成をそれぞれ測定する系を確立した。嫌気条件から好気条件への変化をモデルケースに解析を開始しており、今後他の環境変化についても解析を行う。 大腸菌において不要タンパク質の分解する主要なプロテアーゼの一つClpPの基質特異性を決める因子(ClpA,ClpX,SmpB)の欠損株変異株を用いてターンオーバーの測定を行い、野生株での結果と比較して、これらの因子の存在下のみで早く分解されるタンパク質の同定を行った。ClpXについては、50あまりのタンパク質と結合することが報告されており、それらタンパク質の配列を元にClpXによって認識されるアミノ酸モチーフが提唱されている。我々の解析でもそれらほとんどのタンパク質のターンオーバーを測定できた。しかし、ClpX依存的に分解を受けていたのはそのうち16タンパク質に過ぎず、他の多くはClpX存在下でも非常に安定であった。この結果よりClpXとの結合が必ずしも分解に結びついていないか、他の付加的要因が必要な可能性もあると考えており、環境変化に伴うClpP依存の分解について今後解析を行う予定である。
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