2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20310117
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中東 憲治 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 准教授 (70322740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石濱 泰 京都大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (30439244)
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Keywords | タンパク質ターンオーバー / タンパク質分解 / 翻訳郊率 / プロテオミクス / 大腸菌 |
Research Abstract |
本課題の目的は、個々のタンパク質合成量、分解量を測定し、細胞中の各タンパク質ターンオーバーを明らかにして、細胞内タンパク質量の調節について網羅的な知見を得ることである。 昨年度までに、大腸菌の定常増殖状態ではタンパク質分解はほとんど起きず、タンパク質ターンオーバーにはほとんど寄与していないことを明らかにした。本年度は1000以上のタンパク質のターンオーバーとそれらのmRNA翻訳効率の測定を行い、 1、定常増殖状態において、mRNAの翻訳効率に差があり、その差がタンパク質の量の決定に分解よりも大きな寄与をしていること。 2、環境変化によって定常増殖状態を外れた際には、条件によってタンパク質分解がターンオーバーに寄与するが、不要タンパク質を選択的に分解するような機構は全般的には大きな役割を持たないと考えられること。を示す研究成果を得た。 1、リボソームによってRNA分解酵素から保護されたmRNAと全mRNAを高性能シーケンサーにより定量、比較し、各mRNAの翻訳効率を網羅的に推定した。中心炭素代謝系55酵素とそのmRNAでは、リボソーム密度には最大で約5倍程度の差があり、解糖系遺伝子は他の経路よりも高密度であるなど、経路によって傾向があることが分かった。タンパク質量とそのmRNA量の関連についても、リボソーム密度を考慮することでより高い相関が得られ、タンパク質量の決定要因として分解速度よりも翻訳効率が重要なことが示された。 2、嫌気的環境から好気的環境への変化、及び、栄養飢餓に伴うタンパク質ターンオーバーの解析を行った。いずれも多くのタンパク質の発現量変化をもたらし、条件によっては多量のタンパク質分解を伴うことが分かった。しかし、その場合でも不要タンパクの選択的な分解でなく、非選択的に多くのタンパク質を分解し、特定のタンパク質を合成することで環境適応が行われていると考えられた。
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