2008 Fiscal Year Annual Research Report
百万年以上にわたり組換えが抑制された染色体ゲノムの構造・動態解析
Project/Area Number |
20310118
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
阿部 訓也 The Institute of Physical and Chemical Research, 動物変異動態解析技術開発チーム, チームリーダー (40240915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 聡史 独立行政法人理化学研究所, 情報解析技術室, 専任研究員 (30391890)
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Keywords | ゲノム進化・再編 / t-ハプロタイプ / 染色体組換え |
Research Abstract |
染色体の組換え(交叉)は遺伝的多様性を生み出す原動力であり、ゲノムの再編・進化にも重要な役割を持つものと考えられる。本研究では数百万年の間、組換えが抑制されたマウス17番染色体の染色体領域であるt-ハプロタイプの構造・配列解析を行い、その構造情報を得ることを第一義の目的とする。さらに、構造情報をもとに、組換えが関与しない場合の染色体の進化過程を追跡し、組換えの意義を染色体レベルで改めて評価することを試みる。今年度はインサートサイズが平均約100kbのt-ハプロタイプBACライブラリーを作製し,実際にt-コンプレックス領域のゲノムクローンの単離を行ってきた。同時にアレイCGHにより,C57BL/6(B6)ゲノムに比して,コピー数が変動している領域を向定した。この領域のBACクローンの単離を行ったところ,多コピーを示す領域からは他の部分と比べて,多数の陽性クローンが得られた。このことはアレイCGHの結果を裏付けるもので,この部分で重複や欠失等のゲノム再構成が生じていることが示唆された。今後は,さらにクローン単離を進めるとともに配列解析を含めた構造解析を行っていく。また,ゲノムマイクロアレイを用いたハイブリッドキャプチャーにより,t-コンプレックス領域を濃縮し選択的に単離する技術の確立を試み,実際に単離したDNAの配列決定を次世代シークエンサーを用いて行った。その結果,B6ゲノム配列との間に多数の遺伝子多型が存在する事を見出した。この方法により,約10倍程度の濃縮が可能となったが,今後さらに濃縮率を上げ,解析全体の効率を高めていく必要がある。
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