2009 Fiscal Year Annual Research Report
百万年以上にわたり組換えが抑制された染色体ゲノムの構造・動態解析
Project/Area Number |
20310118
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
阿部 訓也 The Institute of Physical and Chemical Research, 動物変異動態解析技術開発チーム, チームリーダー (40240915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 聡史 独立行政法人理化学研究所, 情報解析技術室, 専任研究員 (30391890)
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Keywords | 染色体組換え / t-ハプロタイプ / BACライブラリー / ゲノム再編成 |
Research Abstract |
染色体の組換え(交叉)は遺伝的多様性を生み出す原動力であり、ゲノムの再編・進化にも重要な役割を持つものと考えられる。本研究では数百万年の間、組換えが抑制されたマウス17番染色体の染色体領域であるt-ハプロタイプの構造・配列解析を行い、その構造情報を得ることを第一義の目的とする。今年度は、tw5ハプロタイプのホモ個体のゲノムDNAを用いて作製したBACゲノムライブラリーのスクリーニングを行い、t-コンプレックス領域のゲノムクローンを単離した。また、このBACクローンの次世代シークエンサーによる配列決定を行った。さらにハイブリッドキャプチャーに用いるプローブ設計を行い、キャプチャー実験に用いるtw5以外のt-ハプロタイプマウスを入手し、DNAの調製を行った。 アレイCGH実験に用いるマイクロアレイプローブを再設計し、新規のマイクロアレイを用いて、t-ハプロタイプゲノムと標準系統であるC57BL/6Jゲノムのコピー数の比較や、DNA再編成の有無を検討した。その結果、これまでに見出した大規模な重複、欠失が存在することが再確認されたが、見つかっていなかった多数の小規模なDNA再編成を見出すことにも成功した。この新規アレイを用いて3種類の異なるt-ハプロタイプゲノムを比較した結果、t-ハプロタイプ同志は標準系統に比べると相対的に似通った構造を持っているが、t-ハプロタイプ相互の間でも、大規模な重複あるいは欠失が存在することが確かめられた。このことから、染色体組換えが抑制された状況でも大規模なDNA再編成が生じ得ることが示唆された。
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