2010 Fiscal Year Annual Research Report
地下深部生命圏の遺伝子資源保全へ向けた環境ゲノム調整法と多様性解析
Project/Area Number |
20310124
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
高見 英人 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, チームリーダー (70359165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪内 泰志 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 研究員 (30442990)
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Keywords | メタゲノム情報解析 / 地下生命圏 / 代謝パスウェイ / Chloroflexi / アセチルCoAパスウェイ / Candidate division OP1 / 比較ゲノム解析 |
Research Abstract |
昨年度までに行った下北半島東方沖掘削コア5サンプルから作成されたショットガンライブラリーのsequencingを共同研究者の豊田が所属する遺伝学研究所で進め、昨年度まで終了したクローンと合わせ各サンプル4万クローンの両端配列をサンガー法により決定した。これをもとに今年度は、16S rDNA配列からの菌種組成情報だけでなく、メタゲノム配列に基づく代謝ポテンシャルに着目した情報解析を行った。さらに、既に配列決定が終了していた地下鉱山由来の別サンプルについても情報解析を同様の方法で行った。その結果、下北半島東方沖の各サンプルから得られた約4万クローンの両端シーケンスの配列情報をアセンブルしたところ、コンティグを含む全ての配列から6~8万遺伝子が同定された。遺伝子の半数は、主にClostridia、δ-proteobacteria、Chloroflexi、Euryarchaeota由来の遺伝子にトップヒットし、層準間に大差はなかった。また、各層準由来の遺伝子の内訳は、炭水化物、アミノ酸、エネルギー代謝を含む代謝関連機能遺伝子の割合が最も高く、特に、浅層準(0.7m)ではδ-proteobacteria由来と考えられる硫酸呼吸関連遺伝子、中層準(5m、18m)ではメタン生合成関連遺伝子が特徴的であった。一方、地下鉱山由来の別サンプルについては、これまで未培養のOP1に属する好熱性バクテリアが優先種の1種であることがわかり、得られたゲノム情報からこのバクテリアは水素とCO_2からアセチルCoAパスウェイを介して酢酸を生成するアセトジェンであることが示唆された。このように本研究によって地下生命圏に存在する遺伝子ポテンシャルが特徴付けられたことによって,今後の遺伝子資源の活用と保全を考えるにあたっての大きな一歩となった。
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Research Products
(10 results)