2009 Fiscal Year Annual Research Report
光捕集部位-フラーレン2元系を用いる光線力学治療薬の開発
Project/Area Number |
20310133
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
池田 篤志 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 准教授 (90274505)
|
Keywords | フラーレン / リポソーム / 光線力学治療法 / 癌細胞 / 2元系 / エネルギー移動 / 一重項酸素 / 活性酸素 |
Research Abstract |
新しいがん治療法の一つである光線力学治療法における光線力学治療薬として、昨年度までに光捕集部位(光アンテナ)として蛍光色素と、活性部位として[60]フラーレン(C_<60>)をリボソームに含有することにより、光線力学治療法で用いられる波長領域(600~700nm)の光照射で高い光線力学活性を持つことが示された。これにより、C_<60>が長波長領域に吸収をあまり持たないため、この領域での光照射による光活性が低いという問題を解決できた。本年度はさらに光活性を向上するために、活性部位としてC_<70>を用いた。 本年度は光捕集部位としてカルボシアニン系蛍光色素であるDiDを用いた。DiDを混合したリポソームの中にさらにC_<70>を取り込ませることで、2元系の作製を行った。そして、この2元系を用いてがん細胞であるHeLa細胞に対する光毒性を評価した。この結果、DiD、またはC_<70>のみをそれぞれ含有するリボソームに比べ、2元系のリボソームは圧倒的に高い光毒性を有することが明らかとなった。この光活性は、昨年度実施したDiD-C_<60>の2元系よりも活性が高く、しかも従来の光線力学治療薬であるフォトブリンと、ポルフィリン-DiDのユニット換算で比べるとより活性が高いことが示された。この原因はまだ完全には明らかとなっていないが、エネルギーポテンシャルを考えるとDiDからのエネルギー移動がC_<60>よりもC_<70>のほうが効率よく起こり、結果的に溶存酸素へのエネルギー移動がより高効率で起こることで活性酸素が発生しているためであると考えられる。さらに、C_<70>とDiDのリボソーム膜中濃度には最適値があることが明らかとなった。
|
Research Products
(19 results)