2009 Fiscal Year Annual Research Report
二次代謝酵素の結晶構造解析を基盤とする酵素機能の開拓と物質生産
Project/Area Number |
20310136
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 郁朗 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 教授 (40305496)
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Keywords | ポリケタイド / 生合成 / 酵素 / 遺伝子 / 生合成工学 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、アロエ由来ペンタケタイドクロモン合成酵素、オクタケタイド合成酵素、また、ダイオウ由来ベンザルアセトン合成酵素、トウゲシバ由来カルコン合成酵素などを材料として、結晶構造により見出した新たな活性部位ポケット近傍のアミノ酸残基に変異を導入することにより、活性部位キャビティの大きさや活性アミノ酸残基の配置を変化させて、酵素反応開始基質やマロニルCoA縮合数、さらに閉環反応様式に与える影響を精査した。その結果、酵素結晶構造に基づく活性部位キャビティ構成残基などへの部位特異的変異の導入により、各種機能改変酵素の作成に成功した。一方で、非天然型人工基質を作用させることにより、潜在的な酵素触媒ポテンシャルを引き出し,非天然型新規化合物の創出に挑戦した。トウゲシバ由来カルコン合成酵素に、2-カルバモイル安息香酸のCoAチオエステルを開始基質として作用させた場合、2分子のマロニルCoAを順次縮合の後、6-5-6縮合環構造を有する3環性非天然型新規アルカロイドの生産に成功した。さらに、ヘテロ芳香環など一連の含窒素人工基質を合成し,機能の異なるIII型PKSに作用させることにより、これまでに数種の非天然型新規アルカロイド骨格の創出に成功した。ダイオウ由来ベンザルアセトン合成酵素のX線結晶構造解析に成功し、酵素反応機構を解明した。現在さらに、III型PKSの寛容な基質特異性と潜在的触媒能力を活用することにより、また、合理的な人工基質の設計と結晶構造に基づく機能改変酵素を組み合わせることにより、新規生体触媒と非天然型新規化合物の効率的な生産に取り組んでいる。
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Research Products
(8 results)