2008 Fiscal Year Annual Research Report
標的タンパク及び糖鎖を光分解する光感受性生体機能分子の創製と応用
Project/Area Number |
20310140
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
戸嶋 一敦 Keio University, 理工学部, 教授 (60217502)
|
Keywords | タンパク / HIV-1プロテアーゼ / フラーレン / 糖 / ハイブリッド / 分子デザイン / 化学合成 / 光分解 |
Research Abstract |
本研究では、特定波長の光照射をトリガーとして、標的タンパクを、時・空間的制御により、選択的に光分解する人工生体機能分子の創製研究として、初年度において、HIV-1プロテアーゼを、光照射を機能発現のスイッチとして選択的に光分解する光感受性生体機能分子の分子デザイン、化学合成および機能評価を行った。標的タンパクとして選定したHIV-1プロテアーゼは、HIVの機能発現における要因物質であり、HIV-1プロテアーゼを選択的に光分解することが出来る低分子化合物は、HIVの治療を目的とした光線力学療法における分子標的薬剤として期待される。これまでに、HIV-1プロテアーゼは、種々のフラーレン誘導体と高い結合能を持つこと、また、フラーレンは、長波長の紫外光および可視光を照射することにより光励起されることが知られている。そこで本研究では、フラーレンが疎水性の化合物であり一部の有機溶媒にしか溶解しないため、フラーレンに親水基を多く持つ糖をハイブリッド化させた新たなフラーレン-糖ハイブリッド分子を、分子計算ソフトMOEにより分子デザイン、化学合成した。合成した化合物とHIV-1プロテアーゼとの結合能を、酵素阻害活性試験により阻害定数として算出した。その結果、本化合物は、HIV-1プロテアーゼに対して高い阻害定数を有することを見出した。次に、この化合物を用いてHIV-1プロテアーゼを、標的タンパクとした光照射による分解について検討した結果、フラーレン-糖ハイブリッド分子は、紫外光および可視光の光照射下、タンパクを光分解することを初めて明らかにした。さらに、本ハイブリッド分子は、他のタンパク(牛血清アルブミンや鶏卵リゾチーム)の共存下において、HIV-1プロテアーゼのみを選択的に光分解することを見出した。
|
Research Products
(16 results)