2010 Fiscal Year Annual Research Report
標的タンパク及び糖鎖を光分解する光感受性生体機能分子の創製と応用
Project/Area Number |
20310140
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
戸嶋 一敦 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60217502)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ / フラーレン / タンパク光分解 / アントラキノン / サクラシメジレクチン / マンノシド / 糖鎖光分解 |
Research Abstract |
アルツハイマー病は、難治性疾患の一つであり、この疾患の発症には、アミロイドβが深く関与している。本年度のタンパクを光分解する光感受性生体機能分子の創製研究においては、アミロイドβを光分解する新たなフラーレン誘導体の創製と神経様細胞PC12に対する効果について検討した。すなわち、スルホ基を親水性官能基として有する、水溶性の高い新規フラーレン誘導体をデザイン、化学合成した。さらに、本フラーレン誘導体が、高いアミロイドβ凝集阻害活性及び光分解活性を有することを見出した。また、本フラーレン誘導体が神経様細胞PC12におけるアミロイドβの細胞毒性を軽減させる効果について検討した結果、本フラーレン誘導体が、光照射下、アミロイドβのPC12に対する細胞毒性を顕著に軽減させ、PC12細胞の生存を可能にする新たな光感受性生体機能分子であることを見出した。一方、細胞膜上の複合糖鎖は、細胞同士の認識やシグナル伝達などの役割を担い、また、多くの疾病とも深く関与していることから、標的糖鎖のみを特異的に認識・分解する人工生体機能分子の創製が重要である。本年度の糖鎖を光分解する光感受性生体機能分子の創製研究として、糖鎖を光分解する小分子であるアントラキンとシサクラシメジレクチンとのハイブリッド分子をデザイン、化学合成した。さらに、本ハイブリッド分子が、種々のマンノシドの中で、サクラシメジレクチンと最も親和性が高いMan(α1-6)Manを選択的かつ効果的に光分解することを見出した。このことにより、糖鎖を構成する単糖の種類だけでなく、その結合様式をも識別して標的糖鎖を選択的に光分解する光感受性生体機能分子の開発に成功した。
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Research Products
(17 results)