2008 Fiscal Year Annual Research Report
スプライシング異常による疾病発症メカニズムの分子論的基盤研究
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20310141
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
武藤 裕 The Institute of Physical and Chemical Research, RNA生物学研究チーム, チームリーダー (30192769)
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Keywords | MBNL / CUG-BP1 / 筋強直性ジストロフィー / U2 snRNP / RNA結合蛋白質 / CCCHタイプ亜鉛結合ドメイン / TIA1蛋白質 / p14 |
Research Abstract |
本年度は、筋強直性ジストロフィーの発症に関連すると思われる選択的スプライシング因子、MBNL蛋白質とCUG-BP1蛋白質のRNA結合ドメインについて高次構造解析を行った。この疾病は、CUG triplet repeat病のひとつであり、遺伝子中に増幅されたCUG repeatに上記の蛋白質が結合して、細胞質中から除外されてしまうために、本来これらの蛋白質によって制御されるべきスプライシング反応に異常が生じるために発症すると考えられている。われわれの構造解析の結果、MBNL蛋白質のCCCH亜鉛結合ドメインは、タンデムに繋がった形でひとつのドメインとして挙動し、この中に、反対方向を向くRNAを結合するふたつの独立な結合部位があることを明らかにした(研究発表(6))。また、CUG-BP1蛋白質の3番目のRNA結合ドメインは、一般にRRM foldとして知られているものであったが、従来のものとは異なり、ドメインへとつづくN末端部分が特徴的な構造をとり、RNA認識に強く関与していることが明らかとなった。CUG-BP1と同様のドメイン構成をもつ蛋白質としてHuC蛋白質があるが、この3番目のRRM foldについては、RNAの認識メカニズムが明らかにことなり、両者の制御機構を考える上で興味ぶかい結果である(学会発表(1))。また、基本因子となるU2 snRNPのブランチ部位認識に重要な役割をはたすp14蛋白質について水溶液中での立体構造を決定し、U2 snRNPへと組み込まれるメカニズムおよび、特異的なRNA認識機構について明らかにすることができた(研究発表(1))。
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